近道

先日、外車系二輪の販売店を経営している

若手のH君の店に立ち寄りました。

 

彼は、かつて弊社に在職していましたが、

他のバイクショップに転職後、独立をしました。

根が真面目で、私に胸襟を開いてくれますので

私も、経営に関する拙いノウハウを腹蔵なく教えています。

 

経営は、なかなか厳しいそうですが、

話している顔が、明るくいいものがあります。

 

外資系は、翌月払いの国産とは違い、

支払いが数か月先のものもあります。

するとどうしても、それくらいの期間があれば

何とかなるだろうと、多めに仕入れてしまうのです。

 

「思った以上に買掛金が膨らんで、資金繰りが

急に大変になりました。

いつもお金を借りているような気がして、

何とかできないでしょうか？」

 

彼の質問に、「簡単だ。天引き（積立）をすれば、

全てうまく回り出す」と私は、答えました。

 

人間は余程でない限り、理屈でわかっていても

それができない場合があります。

ある税理士が言っていました。

 

「資金繰りに困っていた経営者が、

銀行との難しい折衝を終えてやっと、

借り入れができた。念のために余分に借り入れを増やした。

通帳に銀行から入金があったとたん、

気持ちが大きくなったのか、念のための借り入れ分で

自家用車を購入した」

 

笑えない話ですが、私生活でも同じことです。

人間は弱い生き物なのです。

少し多めに天引きをして、通帳にお金があまりない状態に、

常にしておくことです。

 

その中では、やりくりが大変なので、知恵も工夫も

節約も生まれてきます。

その状態で１年間過ごせば、別の通帳に

しっかりお金は残るのです。

 

弱みを知り、強みに変えていく。

この地道な繰り返しが、自転車操業から

逃れられる一番の近道だと思います。