興味津々

 窓の外に目をやると、抜けるような青空が、ずっと高く遠く続いていました。

午前9時を30分ほど過ぎた頃に、少し暗い気持ちになりながら、机の前のカーテンを全開にしたのです。

いつものように、米国の株式市場の各種指標をチェックし、日本市場の予測を行う。

市場は大体予測通りだったのですが、思い切って数万株も購入した銘柄は、パソコン画面で更に下落を続けていました。

暫くして、パソコンを消して、知人から譲り受けた黒くて重厚な昔風の皮革の椅子に深く腰掛け直し、ゆっくりと息を吸い、またゆっくりとはいてみました。

 目を下の方へ移すと、流石にウィークデイの午前の公園には人影はありません。

何も考えずに、ただ静かな執務室の空間に時間だけがゆっくりと流れていたのです。

午前10時前に白い車が2台急に、我が家に到着するのが窓越に見えました。

直ぐに階下に降り玄関をあけて門まで小走りしました。

 担当者が乗ってきた軽自動車は隣の長男宅の車庫へ、セダンの普通乗用車の支店長の車は、我が家の駐車場へ停めてもらいました。

そう、融資の件で打ち合わせをすることになっていたのです。

 来年初めに、国内部門の私の株式の一部を長男が買うための融資と、価格によっては投資するかもしれない早良区のマンションの融資の件の確認だったのです。

長男の会社への融資は問題なく、私のマンション投資は、私の頭金次第のようです。

 雰囲気を察した真ダムは、「ケニアAAニエリ」のコーヒー豆をデロンギに入れ、抽出したコーヒーを「柿右衛門」のカップに注ぎソーサーにきちんと乗せ、二人の前に出しました。

長男と同じ年頃の店長や、一回り年下の担当者にそれらを気づけと言ってもまだ無理でしょう。

取り敢えず、長男の融資の件がオッケイになっただけでもひと安心。

私の投資に関しては、やはり「運・縁・タイミング」次第となりそうです。

 二人を頭を深々下げて見送った後ダイニングの席に着くと、彼女が一枚の紙を差し出しました。

「なごやかサロン」という自宅町内のボランティアの集まりで、500円の昼食代を支払い情報交換をする会合でした。

この地区に26年間住んで、こういう寄り合いには参加した方が無難という結論には達していました。

地味に嫌われずに過ごすことが最適だと思っています。

何もストレスを感じずに、仕事だけに集中したいのです。

 87歳を筆頭に女性5名男性3名の会合で、我々夫婦は初参加。

女性の二人は現在独り住まいということ。

町内の歴史や情報は、年寄りの婦人方の話を聞くのが一番。

ある人物の古家を買えたらいいなと思いながら帰宅。

僅か500円の出費と1.5時間の時間の使用で、接点が出来ただけでも儲けもの。

 それから徒歩で地下鉄最寄り駅まで行き、七隈線に乗車し天神南で下車。

天神ビジネスセンターの会議室で株式投資セミナーを午後4時から受講。

TVにも良く出演するこのストラテジストも日本株に関しては強気派。

理由の一番は、時価総額で1986年以来初めて銀行株が日本一になった。

金利は経済の体温計と言われ、日本経済が調子が良い証拠。

次に日本国の税収が2025年度は84兆2000億円もあり、コロナ直前の2019年の58兆円と比較すると約1.5倍と増加している。

日経平均が2040年に26万円になるのはあり得る話。

 セミナー終了後、ビルの入り口近くにあるバス停をチェック。

10数分後に西新方面行きのバスがあることを確認。

予定時刻を数分すぎて到着したバスの、運転手左横の一番前の座席に着席。

約25分間にわたり、変わりゆく天神から大手門、大濠、西新を観察。

西新駅で下車して、西南学院大学公開講座の教室へ向かいました。

 その日が、「小説を書くための読書」の公開講座の最終日。

この日は、出席者20名が事前にそれぞれ講師に提出していた、今までに読んだ本に関する書評を1冊の冊子にまとめてくれて全員に配布。

私のペンネーム『京佳秀峰』の書評がトップに掲載されていて、妙に嬉しく感じました。

たまたまなのかもしれないし、早く提出した順なのかもしれませんけれど。

終わりがてらに、それぞれの人に各「書評」に関する、講師の感想文(A4一枚)が配られました。

私はかなり褒められていて、嬉しさが倍増しました。

このような時に、少々馬鹿で単純な私の性格は、とても良き方向へ向かいます。

本気で小説を書いてみる気になりました。

 講座終了後、彼に具体的なことを聞きました。

パソコンソフトのワードに、原稿が書ける様式があること、兎に角いろんなジャンルの本を読み続けること、自分で下手と思っても良いので書き続けること等をアドバイスされました。

一度は長編に挑戦することも必要とのこと。

何文字くらいか聞くと12万文字~16万文字と。

果たして死ぬまでに書けるか!?

嬉々として、件の建設中のマンションの横を通り、徒歩で30分掛けて自宅に着いたのが午後9時前でした。

玄関を開けていつもより少し大きめな声で「ただいま」と言うと、真ダムが『勝ったよ!!』と私の倍以上のハイテンションでホークスの優勝を伝えてくれました。

福岡市と九州への経済波及効果がとても楽しみとなりました。(これで2106語)

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