先ず現状を受け入れる

 10月1日から、消費税のインボイス(適格請求書)制度が開始されます。

殆どの人には、何のことか分からないと思いますし、その制度自体が影響を与えることはあまりありません。

ところが、自営業者や会社経営者にとっては、大きな問題を孕んでいます。

 売上高1千万円以下の零細業者は、消費税を納めずに済む「免税事業者」と言われています。

本来は、この業者はユーザーに対して消費税を取ってはいけません。

ところがほとんどの免税業者は、ユーザーから消費税を取りながら、自分では消費税を納めていないのです。

その分が益税となり、以前から問題となっていました。

財務省の試算によると、「免税業者」が全て課税された場合の税収は年間約2500億円にのぼるとのこと。

 私の知人が嘗てレストランを経営していました。10人も座れば満席となるような店で、たまに経営相談にも乗っていました。

その彼が常に腐心していたのが、売上高1000万円を超えた場合。

一人で切り盛りしていたのと、客単価もそう高くなく、売上高は年平均1000万円という微妙なポジションでした。

そこで、彼は売上高を1000万円未満になるように処理をしていただろうことは想像に難くありません。

 彼は、そのレストランを10年続けて、借金を完済し数百万円の貯蓄を残し閉店させました。

今思えば正解かもしれません。

 このインボイス制度を取り入れるには、売上高を問わず「課税事業者」に登録しなければなりません。

もしも登録しないでそのまま営業を続けるとどうなるか?

 例えば飲食店の場合、我々が会社の接待等で使用しなくなる恐れが出てきます。

何故なら、このインボイス制度に振り当てられた番号が記入されていない領収書は、我々の会社が消費税を支払っていないとみなされ、我々の会社の負担が大きくなるからです。

 さて免税事業者はどのような行動をとればよいか。

大抵の業者は「課税事業者」の登録はしないと思います。

しかし私がもし相談を受けたなら、「課税事業者」に登録するように勧めます。

益税となっていた年間数十万円の費用負担増にはなります。

 それでも、現状を受け入れて、売上高1000万円を2000万円にする工夫を考え実行した方が、将来的にはプラスとなると思うからです。

上記でも分かるように、売上高1000万円の飲食では、自分が食べるだけで精一杯で、内部留保も出来ないし、経営の観点からいうと、継続性もありません。

 2輪業界と違い粗利率の高い飲食業です。私にはこの業種の経営のノウハウはありませんが、理論的に考えて売上高1000万円レベルであれば、今後淘汰される可能性が高い気がします。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

前の記事

切りよく

次の記事

引き算の経営