コップの中の嵐(出来事)
福岡市内の各店舗を回り、家の駐車場に車を入れたと同時に
私の携帯が鳴りました。
午後7時を少し回ったところでした。
嫌な予感。
的中です。私の両親が入居しているホームの所長からでした。
「お父さんが、夕食後頭がふらふらしておかしいと言われ
血圧を測ったら上が200近くもありました。
深呼吸させて3回測り直してもほぼ同じ数字なのですが、
今までにこんなことはありましたか?」
人一倍健康に気遣う父でしたので、瞬間的に私も異常を感じ、
「すぐに救急車を呼んで下さい。後から私も行きます」
魔ダムが帰るのを待って、ホームに行きますと
丁度救急車に乗ったところでした。
運ぶ時に嘔吐をしたとのこと。
福岡記念病院に搬送されました。
緊急処置室に入れられた父を前の椅子に座り待ちました。
白とベージュの少し古さが感じられる狭い空間でした。
1時間ほど待つ間に、3組の人間模様を見る事が出来ました。
待合室とたまに開く処置室の中からの声で大体想像できました。
一人は中学生で顔面陥没、両親と思われるうちの女性が
処置室から出てきて涙を浮かべていました。
次に高校生が搬送されました。
お母さんが遅れてやってきた後に、先生と呼ばれる男性が到着。
部活終了後パタッと倒れたそうです。
母親は動揺した様子も無く、スマホをいじっていました。
3組目は女性が泣きながら病室の方から出てきて外へ。
20分後くらいに老若男女合せて7人がその女性と
再び入ってきて、受付の男性に
「先ほど亡くなった○○の親族です・・・」
父の結果は、全身のCT撮影の段階では異常が無く
ただ心電図がおかしな波形をしているということで
再度検査をするために3日ほどの入院となりました。
点滴と注射でかなり落ち着いた父を見て
入院の手続きを行い、胸をなでおろして外へ出ました。
いつものように車が走り、道路を隔てた向こう側の進学塾は
授業が終了したのか、かなりの生徒が外に出てきて
帰り支度をしていました。
そこには、いつもと変わらぬ普通の風景がありました。