強い心

 2025年3月31日(月)23時52分読了。

「透析を止めた日」堀川恵子 著

ノンフィクションならではの深さと重みと示唆(しさ)がありました。

大衆受けや評判を狙ったものではなく、自分の心の奥底からの呻きを一気に吐き出した感があります。

単に世間に事実を訴える作業ではなく、ある意味、感情に流されず『矜持(きょうじ)』を保ちながら筆を進めていく姿勢にも感動しました。

この本は全ての人に読んで欲しいし、特に夫婦や家族単位で読んで欲しい稀有(けう)な一冊です。

 「透析」の厳然たる事実は、それを止めたら死ぬということです。

毎日死の恐怖を受け入れながら、死ぬその時までその治療を受け続けなければなりません。

ところが皮肉なことに、長く透析を続けていると、透析が出来なくなる日が来るのです。

それから死ぬ数日までに人生最大とも言われる苦痛が襲い、それに対する緩和医療が日本では出来ない事実があります。

高齢化社会の日本では、将来は5人~8人に1人の割合でこのような患者が出てくるそうです。

 「人工透析」を広辞苑で確認します。

人工の装置(人工腎臓)を用いて患者の血液を透析し、本来腎臓から排泄(はいせつ)されるべき有毒物質を除去する治療法。腎機能不全の患者に一定の間隔を置いて反復して行う。

 私の下手な感想や解説では、この本の高尚さをふいにするだけなので、兎に角読んで頂きたい。

お金優先に思える医療現場にも、「患者のため」と努力を続ける医師や看護師たちが多くいることに救われました。

涙を流しながら赤鉛筆で線を引き続けました。

 その中でも特に印象に残った文章。

「そうだ、もう水分を気にしなくていいのだ、水でもコーヒーでも何でも、好きなときに欲しいだけ、自由に飲んでいいのだ。中略 たったそれだけのことが無性にうれしかった」

「病と生きるということは、多くの不条理を黙って受け入れて生きるということ。数万人に一人の難病という不運をどんなに呪ってみても、現実は何ひとつ変わらない。なぜ彼が、という問いも、虚しいばかりで何の意味も持たない。中略 ただ生きていられること、それがいかに難しく有難いことか」

「人生で真に大切なのは、どれだけ長く生きたかではなく、どう生きたかなのだ」

 私の果たすべき役割は、日本の医療の日の当たらない部分に寄付することだと確信しました。

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