案の定

 3月の確定実績が出ました。

案の定、長男の会社の凋落が見て取れました。

PLだけみれば黒字で、売上高が前年割れは仕方ないとの雰囲気。

私はすぐに長男に、このままいけば5月から6月にかけて一気に低迷が始まり赤字に転落するときつく言いました。

 二輪業界では、季節的な要因がかなり大きく、3~10月(降雪地帯は除く)に売上高や利益が出るのは当然なのです。

特に3~4月の売上高と利益が、その年の趨勢を決める指標となると私は思っています。

 この1か月でYSP筑紫、YSP佐賀、YSP熊本へ行きました。

スタッフは普段通り真面目に仕事をしていました。

しかし、この普段通りがいけないのです。

前年や前前年のラッキーな追い風を前提としているものだからです。

 一番売れていたSR400とセロー250は製造中止になる、かつ供給サイドの事情で車両が潤沢に入ってこない事の二つは、事前にわかっていたことで、今年からは厳しい年になることも理解していたはずです。

このような時こそ、経営者の力量が問われます。

会社の非常事態宣言なるものを出して、普段通りではなく更なる緊張感と危機感をもって、対処の方法を実行するように指示しなければならないのです。

元々売り上げ目標や利益目標を前年より大幅に下げていること自体が問題なのです。

言葉を換えれば、「皆さんの年間収入を大幅に下げます」と言っていることなのです。

同席した税理士が「考え方は悪くはないのですが、経理部長の考え方です」とピッタリの答えを示しました。

 長男の反論は、「出来そうもない目標より達成しやすい目標の方がテンションが落ちない」と。

そこで私は、「何とか10秒を切りたいと思って頑張っている短距離ランナーが、11秒でもよいと目標を設定したことと同じ」と叱責。

 不服そうな顔をしていたので、「売上高移動平均表を出してみろ」と私。

長男はそんなものはつけていないと、次男はすぐさまに3店分と全体がわかるものをパソコンで見せてくれました。

数か月前の税理士との会議で、私がこの移動平均の重要性を説き、税理士にフォーマットを作成してもらっていたのです。

残念ながら素直さとスピード感覚がたりないのです。

これが長男の全ての店長に伝播しています。

 それでもまだ納得していなかったので、キャッシュフロー計算書の「1~3月営業キャッシュフロー」はいくらになっているか長男と次男に聞きました。

長男「約73万円」、次男「約1500万円」

この数字を聞いて、やっと長男は非常事態を悟ったのです。

「営業キャッシュフロー」は本業で得たキャッシュの量、つまり二輪業界ではその会社の能力を表すもの。

次男の会社と違って、不動産を使った賃貸収入がある分、長男は危機感が薄いのです。

私は2年後にはこの不動産を私の会社に移すと通告しました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

前の記事

痛恨の極み

次の記事

疑うことも大切