営業力
我々の業界のように、自分で製品が作れなくて、メーカーが製造したものを販売するビジネスでは、
エリアと商品によって、売り上げが変わる可能性が大きいものです。
大抵どのメーカーも、数年に一度はヒット商品を出してくるので、現場の販売店では、その環境に慣れてきます。
するとどうなるか?販売減になってくると、その原因を商品力が無い事や、エリアのせいにしがちです。
数年前からヤマハ系の店は売り上げを伸ばしてきました。
理由は、製造中止になるSR400や、セロー250が置いておきさえすれば勝手に売れたからです。
更に、コロナ感染症により公共交通機関を避けてバイクのブームが再来し、これまた販売増への追い風となりました。
面白いもので、経済環境には必ず反転があります。山高ければ谷深しのいわれ通りです。
しかし、営業力とは、このような商品力やエリア特性が無い時に、真の実力が分かるのです。
先ず「売れる」からの脱却を目指すべきで、常に「売る」つもりで考え行動することです。
例えば、売り難い商品が在庫であったとします。他人が売ることが出来ないこれらの商品を自分ならどう売るのか考え行動することから始めましょう。
私のような変人は、この様な環境が一番好きです。
随分昔にヤマハがディバージョン400という、如何にも格好悪い、性能も低い400CCのバイクを新商品として出しました。
メーカーとしては、「世界標準」などとかなりの広告を行ったのですが、予想通り全く売れずにメーカー在庫がかなり溜まりました。
大幅に仕切り価格を下げて、我々販売店に降ろそうとしたのですが、ほとんどの店が仕入れませんでした。
私は、むくむくとチャレンジ精神が湧き上がり17台を仕入れ。結果、1ヶ月で完売させ、福岡県の小型二輪車のシェアを一気に伸ばしたのです。
その時にとった行動。
試乗車に1台おろし(当時は二輪業界では試乗車はありませんでした)、自分でかなりの距離を乗りました。
その上で、商品知識を徹底反復し、長所だけを小さなことでもよいので調べ上げたのです。
一般的に中型免許を始めて取られたお客様は、先ず最初に中古の250CCを求められることが大半でした。
その人たちに、この試乗車を乗ってもらう事を優先させました。
そして、先ず新車の利点(保証がつく・故障がない等)を述べ、ツーリングで疲れない、二人乗りしやすい、今が特別価格等のことをアピールして、気持ちよく買って頂きました。
どの時代も、営業力が無ければ利益は出ません。
売れにくい商品を販売したスタッフを表彰するくらいの気持ちで、全員で売れない商品を売る訓練をした店が、今後優位に立つことでしょう。