遅ればせながら

 大卒の採用が来春は今年に比較して20%以上増加する、今春の初任給の伸びは2009年以降で最高となる、等の久しぶりに明るい話題が新聞のトップ面を飾っていました。

とても重要な事ですし嬉しくも思いますが、やっとかという感は拭えません。

これは振り返れば、ユニクロの柳井社長の言動が大いに影響していると思います。

一人の成り上がりの人物でも、一つの国の経済を動かせる良い事例と思います。

 実際、上場企業の役員の年俸と内部留保金額はこの数年増加の一途でした。

会社の利益の分配が従業員に還元されていなかったのです。

日本人の特性でしょうか、環境の激変がない限り現状維持を志向する傾向があると感じます。

 一方中小企業では、従業員の賃上げなど無理という声も多いのが現実です。

弊社グループは、毎年従業員の賃上げを実行してきました。これは、二輪業界自体が低賃金で良しとしていた徒弟制度に疑問を感じたからです。

従業員の賃金アップを毎年行えば、経営者としては恐怖が湧いてきます。

前年と同じ総利益であれば、純利益はどんどん減っていき悪くすれば赤字に転じるからです。

 息子達にいつも言っています。従業員の賃金を上げて赤字になるなら社長の給料を減らせ。

減らすためにはそここそ年収もないといけない。上限は960万円にすること。

 顧問税理士によると、弊社グループの年商からすると、弊社代表者の年収は平均の約半分程度だそうです。

中小企業はそれで良いのです。しっかりと従業員に報いながら、シッカリと税金を納める。

そうすることで何が生まれるか? お金では手に入らない銀行や取引先の絶大な信用を得られるのです。

この信用のお陰で、私が個人の会社を設立したと同時に、銀行は低利で1億7千万円もの融資を実行してくれました。

たかだか資本金100万円のできたてほやほやの会社にです。

既述している通りこの不動案を売却して、私の会社も銀行も共に利益を得て、「結果」を残しました。

 賃上げを実行しながら業績が悪化すれば、経営者には恐怖と共に何とかしようとする衝動が出てきます。

自分の年収を減らしたくなかったら、経営者として会社をどう成長させるか、どう利益を増加させるかを常に考え続け実行に移すしかなくなります。

実際私は平均すると生涯年俸は約700万円くらいになると思いますが、自分のお金を運転資金として会社に貸し付けた金額が累計で一時最高で7000万円にまで膨らみました。

それを自分に完済せずに一気に資本金1億円へと振り替えました。

つまりそれまで貯えた自分の全財産を会社につぎ込んだのです。

 従業員の働く環境を日々改善しない企業に優秀な人材が来るわけありません。

二輪業界が現在でも低賃金である現状は、我々にとってはとてもアドバンテージがあります。

これからもどんどん賃上げを実行し、最終的には優秀な人材のお陰で「百花繚乱→寡占→独占」となるであろう私の勝手な仮説の実験場がこの二輪業界なのです。

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