徐々に且つ確実に

 先日、両親が入居するホームの介護士からLINEが来ました。

ポリデントを二人分購入願いますとの内容。

連休中に外へ出ていなかったので、真ダムと二人、運動を兼ねて、近くのドラッグストアとスーパーへ徒歩で行くことにしました。

 にこやかな女性店員が、「洗浄用ですかそれとも接着用ですか?」と。

慌てて、ホームへ電話すると、洗浄用とのこと。

アプリがあれば安くなるとのことでしたが、どれか分かりません。

スマホを見せると「これです」とバーコードを機械にかざしていました。

 ほんのちょっとした買い物でもこの始末です。

便利になったのでしょうが、商品の特製も分からず、値引きの方法も理解できません。

高齢者のアルアルなのでしょうが、かなり丁寧に説明してもらわないと先へ進めないのです。

 ドラッグストアを後にして、スーパーサニーへ行きました。

両親が大好きなカットフルーツを買うためです。

パイナップルのものがありました。

真ダムが小さな缶詰のマンゴーと白桃も美味しそうだと追加しました。

レジすぐ横に小さなマルボーロの菓子があったので、それも加えました。

 無人レジで決済を済ませ、二人でホームへ向かいました。

ホーム玄関を入ると、介護士が少し話があると。

内容的には、母親も自分で洋服が着れなくなり、お漏らしも始まった。

要支援レベルで色んな作業を加えると高額になるので、要介護申請をした方が良いと。

その認可が下りるまで、ベッドに防水シートを敷きたいので購入願えないかと。

私が現金で支払うので、一番適したシートをホームで購入して頂くように依頼。

日を重ねるごとに両親は幼児返りになっています。

徐々にではありますが、確実に死に近づいています。

 父親の部屋に入ると、いつものようにベッドに横になっていました。

手を差し伸べてベッドから越こし、母親の部屋に連れて行きました。

父はボーと遠方を眺めるような視線で、マスクを取った顔を見て初めて私と気づいたようでした。

 二人して、美味しそうにカットフルーツのパイナップルを完食しました。

30分後には夕食が始まるので、他のものは食べさせませんでした。

2個の缶詰は、冷蔵庫に入れました。

私が後日来た時に開けるつもりです。

テニスボールの缶入りと同じで、開ける時に十分用心しないと指を切るタイプなのです。

 帰る間際に、欲しいものややりたいことを聞くも、特に返事をしません。

「何時も迷惑をかけてすまないね。私たちが一番幸せ」といういつものフレーズを聞きながら、二人の手を握り締めてから、部屋を出ました。

 

 

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