M&A
2023年3月20日(月)19:13に「この1冊でわかるM&A実務のプロセスとポイント」中央経済社 大原達朗他著を読了しました。
MはMerger(合併)、AはAcquisition(買収)の意味です。
二輪業界から3件ほどM&Aの依頼があったのと、知人の歯医者が自分が引退して医院を看護師共に売却したいとの相談を受け、私自身がM&Aの基礎知識を知るべきだと考えたからです。
2輪業界の3件については、全て破談となりました。原因は、売却希望の社長がM&Aの基本さえ知らないという点です。
簡単に言えば中小企業M&Aには「株式譲渡」と「事業譲渡」の二通りがあるのですが、その両方のいいとこどりだけ考えているのです。
例えば、オーナーである社長が現金を希望するなら「株式譲渡」しかありません。「事業譲渡」であれば、現金は会社に入ります。会社に入るという事は、そのまま現金がオーナーに入ることはありません。
このような簡単な事さえ理解できていないのです。
そもそもM&Aの必要性とは何ぞや?
優良企業の廃業を防ぎ、雇用の継承を行うことは日本の経済損失を避けることに繋がり、重要な戦略なのです。
この本を読んで概略は掴めました。
1.M&Aを何故やるべきか、本当の目的は何か をしっかりと認識すること
2.「企業評価」が一番重要となりその方法には、必ずキャッシュフローを使う事。利益は調整できるから。
3.投下した資本の回収期間を考える(営業キャッシュフローの何年分にあたるか、{減価償却費+純利益}の何年分にあたるかを一つの指標とする
4.中小企業では「株式譲渡」が一般的でその時には100%の議決権を持つことが重要
但しこの場合は簿外債務も引き継ぐ可能性があるのでDue(義務)Diligence(努力)の作業が重要で、契約書に損害賠償項目を入れる必要がある。
5.許認可が失効しないか、取引先との契約解除に繋がらないのかの確認
最終的には売買のオーナー同士の信頼関係が基礎となります。
お互いにウィンウィンの関係でクロージングが完了してからがスタート。PMI(Post Merger Integration)すなわち経営統合が完了してから初めて成功といえるのです。