忘れてはならない事実

 4月8日(月)に厚生労働省が、従業員5人以上の3万余りの事業所に行っている「毎月勤労統計調査」の2月速報値を公表しました。

名目賃金は、前年同月比1.8%で26か月連続のプラス。

実質賃金は、前年同月比-1.3%で23か月連続のマイナス。

 4月から大手企業の5%を超える賃金アップと、3%を超える中小企業の賃金アップで、実質賃金も秋以降にはプラスに転じると予想されています。

一見、非常に良いこと尽くしの感があります。

しかし、中小企業にとってはここに大きな落とし穴があります。

 生産性向上策がないままに、人手不足のためだけの対策で賃金を上げていったら、中小企業は必ず行き詰ります。

理由は簡単です。人件費が増えるという事は、会社負担の社会保険料負担の増加を意味します。

社員の中には、少々の賃上げでは増えた感覚が乏しいものです。賃金上昇に伴い差し引かれる社会保険料も大きくなるからです。

しかし、社員一人一人が自分の給料から引き落とされる金額と同じ額を、会社が負担していることはほとんどの人が知りません。

つまり、給与の額に応じた社会保険料を、個人と会社で折半しているのです。

 会社経営においては、どの経営者も税金に関しては敏感に反応します。

その事業年度で赤字になれば、消費税を除く税金は支払わなくて済みます。

しかし、社会保険料は、赤字だろうが黒字だろうが、必ず納めなければならない、とても厳しい制度なのです。

それは、年金に関わってくるから、仕方ないのです。

 日本年金機構は、社会保険料の滞納を原則2年間の猶予期間を設けています。

コロナ感染症のときには、それを3年間に延長しました。

これが現在終了したのです。

 税金以上に厳しい、この社会保険料の徴収のことを知らない、中小企業の経営者が多い。

2023年10月時点で、社会保険料未納倒産者は、前年の1.5倍に増加しました。

今年は、それを更に大きく上回ると予想されています。

今年から来年にかけて、一気に倒産・廃業の会社が増える事実から目をそらしてはいけません。

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