雇われ社長の限界か?
私は、新聞や経済誌等の大きな記事は大抵、大雑把に読んで深堀しません。
ここが変人の変人たる所以で、大半の人と同じ行動をしたくないだけなのですが。
よって、小さな記事はないかと、隅々まで探し回ります。
結局、探した小さな記事は、行数も少なく全貌が理解できないので、自然と各種の媒体を拾い集め深堀することに繋がります。
下着大手のワコールが、2023年3月期で、創業から77年で初めての赤字に陥ったとの記事が目に留まりました。
ワコールと言えば、我が魔ダムも百貨店で開催されるそのブランドのバーゲンにはいつも付き合わされるくらい、女性には特別の存在なのでしょう。
2023年期は増収ながら大幅な減益となっていました。
純損益は17億円の赤字(前期は17億円の黒字)。
このコロナの時期にも黒字を維持し、77年間も赤字を出していないことに驚きました。
調べると、殆ど無借金企業で、自己資本比率は70%を超えていました。
それほど財務内容が良い、且つ2000億円前後も売上高がある企業が、いったいなぜ赤字に。
理由は簡単なものでした、2018年に就任した社長が、アメリカの通販会社を買収し、その企業の業績悪化による企業価値下落分100億円を計上したためです。
結論的には、本業は83億円もの黒字だったという事。
この社長が退任することは当然として、あまりに勿体ない事例です。
2024年期は一転黒字額45億円を発表して株価は上昇。
似たような光景を思い出しました。私が株を持ち続けている日本郵政。
オーストラリアの運輸関連企業を買収し、4000億円の企業価値を毀損させた分を損失として一昨年計上しました。このM&Aを決断した社長は既にいません。
最近では楽天に1500億円も出資し、その楽天の株価が半値以下になったので、これまた、750億円ほどの損失として計上しなければならなくなりそうです。
これを決断したのは、現社長の増田氏。誰も成り手のいない日本郵政を、引き受けただけでも良しとしなければならないのでしょう。
上記M&A事例は、どのような経緯で行われたのかは不明ですが、安易に自分の在籍時の業績アップを狙いすぎた感は拭えないのです。
それも、恐らく経営者自ら現地に赴き精査したこともなく、机上で結論を下したのでしょう。
オーナー企業である日本電産はM&A で失敗したことはほとんどありません。
この差は一体どこにあるのか?
身銭を切る感覚があるか無いかで分かれる気がしてなりません。