始末をつける
私には経営に関する師匠が二人いることは既述しました。
一人は創業者で売り上げを50億円ほどにして会社ごと売却したA氏。
もう一人は2代目で、彼の時代に大きく売り上げを伸ばし、40億円ほどの売上にして、3代目の息子に継承させたB氏。
この二人は、水と油ほどの性格の違いが有りました。
A氏は冷静沈着、秘密主義で、頭脳明晰イケメン。
創業当時から不動産などの投資を頻繁に繰り返していました。
車はメルセデスとポルシェを交互に乗り換え、時計はロレックスの金無垢。
鉛筆1本でも会社のものを盗んだら、即辞めさせる。
最後は創業時代の人は誰もいなくなり、会社ごと売却。
B氏は直情型でオープン主義、公明正大をモットー。
株式や不動産等の投資は一切やらない。
車も時計も興味はなく、但し食に関しては怖いほどのこだわり。自宅の味噌汁の出汁も鰹節の男節、女節を削り出して作るほど。
社員が不正を働いても、一度は許すタイプ。
女性事務員の欠員が1人出て、募集をかけると50倍の競争率になるほど、会社と社員のことを考える。
これほど性格の違う経営者に共通点が有りました。
数字にめっぽう強い。
銀行の情報をうまく活用。
麻雀がセミプロ級。
人に任せる時には「100か0」しかないとのモットー。
常に大きな目標を吹聴していた。
何事もきちんと『始末』をつける。
A氏はかなりモテたのですが、その度にきちんと4度結婚をして生活援助も行っている。
B氏は、奥様にばれてもいないのに、奥様に今から女性と別れてくると言って出かけていきしっかりと別れた。
この二人とはとことん付き合わせてもらいました。
徹夜マージャンなどざらでしたし、寝食まで共にしました。ディスコや海外にまで同行して清濁併せ飲むほど、色んなことをどん欲に吸収したものです。
そういうことを続けていっても、自分の根源的な性格は変わりようもなく、自然とB氏との付き合いしかなくなりました。
私のなかで、人生においても経営においても『始末をつける』という肝を、この二人に教えて貰ったことは幸運としか言いようがありません。