シェア逆転
最近ではあまり聞かなくなりましたが、ガリバー型企業。
その典型がビール業界のキリンでした。
ビールをあまり飲まない、若い皆さんはご存じないと思いますが
1976年には、キリンのビールにおけるシェアは63.8%もあり、
競争力の関係で、国が会社を分割させようとしていたくらいです。
一方アサヒは1985年には、シェア9.6%と10%を切り
「夕日ビール」と揶揄されるまで落ち込むのです。
そこに乗り込んできた当時の住友銀行の村井勉、樋口廣太郎氏により
1987年(奇しくも弊社創業年)に、「スーパードライ」を発売して
シェア奪取が始まるのです。
直近でビール酒造組合がまとめた、ビール類の課税済み出荷量の調査によると、
2014年 1~6月累計販売シェア
キリンビール:33.1%→前年同期比-1.9%
アサヒビール:38.1%→前年同期比+1%
メーカーは1%のシェアをかけて、しのぎを削っています。
それが、50%もあった差を逆転したのです。
ハーバード大学ビジネススクールに、樋口氏が招待されて講演したのも
むべなるかなです。
さて、二輪業界。ホンダが国内で約50%のシェアを持っています。
かなりのガリバー型に近いのです。
だから、ヤマハが面白い。私は常にそう思っています。
私がシェア逆転の話をヤマハの人々にしても
HY戦争に負けたトラウマか、ほとんどの人がピンと来ていません。
HY戦争については私の創業前だったので、よくわかりませんが、
安売り合戦の物量戦だったようです。
これでは、ランチェスター戦略を引き合いに出すまでもなく、
大が小に勝つのは自明の理です。
ところが、成熟した消費経済下の現在の日本ではどうでしょうか?
スーパードライを見ればわかるように、完全に違う流れさえ作れば
趣味性が強いがゆえに、逆転は可能なのです。
私はそれが、ヤマハのMTシリーズだと思います。