他人事(ひとごと)
2022年8月5日現在でも、25日移動平均の騰落レシオは、買われ過ぎの100を大幅に超える122.82%でした。
これほど経済環境が悪く先が見通せないのに、買い意欲は旺盛なのです。
如何に市中にお金が滞留しているのかわかります。
私はこのような経験をあまりしていません。買われ過ぎがあれば、必ず反転の売られ過ぎも生じるのが株式相場だったからです。
これと同様なことが現在進行形です。
それは、これから本格的なインフレに突入するという事です。
30年もの間デフレの真っただ中にいた日本人には、このインフレの兆候は「他人事」なのです。
私は大学の卒業論文が「インフレーション」に関することでしたので、かなりの興味をもって未来を予想しています。
日経新聞に面白い記事が掲載されていました。
インフレーションは3段階を経るというものです。
1.ホップ 現実に物価が上昇
2.ステップ 人々の認識や行動が変わり、買い急ぎなどで物価をさらに押し上げ
3.ジャンプ 公共料金、給与、契約など社会の仕組みがインフレを前提として織り込み、自己実現的に物価上昇が加速
殆どの人が「1」の段階で、いずれ元に戻ると楽観しています。
ところがそうはならないのです。
簡単に言えば、上昇した「人件費」は下げることが法律上かなり困難です。
日本のお家芸である製造業も、世界中のサプライチェーン管理のリスクが大きくなり、トヨタのジャストインタイムなどは不可能になり、かなりの在庫の上積みが必要となります。その結果コスト増となり製品価格を押し上げます。
世界中の余ったお金が円安の日本に入り込み、不動産価格は上昇を続けます。
不動産価格の上昇に遅れて賃貸料金も上昇します。
今から徐々に日本国民は「インフレの恐怖」を味わうこととなるでしょう。
平和がやってくるものではなく「勝ち取るもの」であるのと同様、インフレも勝ち抜く戦略が重要なのです。