遅い決断

 サラリーマン社長と、創業社長の違いの最も大きなものは「決断の速さ」です。

これは仕方ないかもしれません。

創業社長で上手く行っている人の大半は、常に真剣な倒産の危機意識があります。

サラリーマン社長にこれと同じことを要求しても無理です。

 名門企業の東芝とキオクシアが、主力工場の土地や不動産を売却、あるいはリースとして流動化をし、「持たざる経営」に舵を切るとの報道がありました。

両者ともに、最悪の現実に直面して初めて、この様な行動をとっています。

危機的場面に直面した場合、経営者にとって学歴は全くあてになりません。

『信念と行動力』のみが会社の将来に影響を与えるのです。

この報道に関しての私の感想は、悪い事ではないが、今更かよといったもの。

 既述しましたが30年ほど前に、私の会社は大きな危機に直面しました。

PLでは増収増益を毎年達成し、これからは「中古車の買い取りと中古車の販売」が大きな利益を生むという、私の仮説の正しさに有頂天になっていました。

ところが、売上高が2億円に達しようとした時に、2000万円ほどの資金ショートに陥ったのです。

お客様は増え、売上高もうなぎのぼり、何故このようなことになったか?

理由は簡単でした。在庫過多でほとんど説明が出来たのです。

 その頃から、財務と税務の勉強をかなりするようになり、先ずPLよりもBSが重要と認識し直し、且つ、我々のように資産のない会社はCFが最も重要と気づきました。

黒字で倒産する意味がやっと理解できたのです。

 この時から、月次決算を取り入れ、各店舗ごとの売り上げや利益の管理も行うようになったのです。

資金がありさえすれば、赤字でも経営は継続できます。

 当時は、まだ優良な大企業でもCFの重要性は語られていませんでした。

あくまでPL中心が日本企業の姿だったのです。

 我々企業グループは、大半が事業用借地権で経営を行っており、大きな資金が眠ることがほとんどありません。

環境の変化によって、撤退や新規出店も大きなお金を必要とせずに実行できます。

私が30年前に気づいてたことを、東芝などは今やっているのです。

外資の投資ファンドにいいように操られ、利益のほとんどを搾り取られています。

経営者無能の典型なのです。東芝のこの10年ほどの経営者の移り変わりで、経営者履歴を見ると、ほとんどが超難関大学出身者ばかり。

私のような大したことのない地方大学の者でも、30年ほど前に気づいて手を打ったことをやってこなかったのです。

 経営者に必要なことは、学歴はあったに越したことはありませんが、何よりも『胆力』が一番だと思っています。

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