近視眼的
広辞苑によると、「近い所、狭い所にだけ気をとられて、大局の見通しのないさま」とあります。
平和ボケして、30年間もデフレを経験してきた日本人に、よりその傾向が強くなった感があります。
グローバルに目を向けると、世界の先進国は次々と中国への投資を縮小しているにも拘わらず、未だに日本のサラリーマン社長が経営する大手企業では、現状維持や更なる投資を行っている企業まであります。
千葉県流山市や埼玉県川越市などに、最近若手ファミリーの人々が家を新築して人口が増加しているそうです。
この地域は、国土交通省によると、大きな災害が発生する危険性が高い地域です。
大水害が発生すると5M以上の浸水となり、平屋の家であればほぼ沈んでしまうほどです。
交通の便が良く、暮らしやすい割には地価が安いという理由で買われているそうです。
本質を見誤っています。交通の便が良く暮らしやすい場所が地価が安いはずはないのです。
面白いことに、購入した家族は誰もが、自分達が生きている間は大きな水害は発生しないだろうと考えていること。
東北の震災やここ数年の大水害の発生を見ていても、自分達だけは大丈夫と思うこの心理。
渇水は防ぎようがないが、洪水は防げる。その発生する場所に住みさえしなければ良いだけなのに、敢えて住む。
不動産は、きちんとしたものを選べば、自分達の時代だけでなく次世代にも引き継げる大きな買い物です。
あまりに近視眼的な気がします。
同様なことが経営にも当てはまります。若手経営者は、経験が少ないがゆえについつい目の前のことに注意を払いがちです。
足元をしっかりすることは当然ですが、経営者には数歩先を見ることがプラスの資質として必要です。
例えば、今後2輪業界で新店舗を出す場合は、何年か先には、その店舗の用途自体が変わる可能性まで考えるべきです。
そして自然災害に会い難い場所を選ぶことも重要なのです。