感謝しながらも勉強させる

 会社経営にとって人材が一番重要であることは、論を俟ちません。

多店舗展開をする場合には、特にそのことが会社の行く末さえ左右します。

任せる店長によって、店舗はどうにでもなるからです。

 大きな店舗だろうが、小さな店舗だろうが、その店長の経営手腕によって、実績は大きく変わってきます。

経営者の期待の大きさだけ、給与面の待遇も考えます。しかし、店長の責任の重圧もかなりのものがあります。

先ずは、引き受けてくれる人物には感謝します。

 特に家庭を持つ人が、自宅以外の県外の店長を引き受けてくれる場合には、それこそ感謝以上に恩まで感じます。

わが子供と同様とても気になるものです。

 一昨日、その店舗である長崎を訪れました。

熊本に家族を残しながらも、新規で長崎を立ち上げ軌道に乗せるべく奮闘している店長がいるからです。

 店舗に立ち寄った後、慰労を兼ねて私と魔ダムと彼とで長崎市内で会食をしました。

場所は、銅座にあるおにぎり専門店の「かにや」。

 魔ダムは折角御馳走するならもっと高級なところはないの?と不満顔。

ここを選んだ理由は、私が学生時代に通った店であること。たかがおにぎり専門店でありながら今年で創業58年目になること。社員数が30人前後いることetc.

 長崎の店長にこの店の経営分析をさせるために連れてきたのです。

午後8時前に行ったのですが、ほぼ満席で次々に人が来ます。午後9時過ぎになると店の前に行列ができるくらいになるのです。

 確かに、コメは新潟産の高級コシヒカリ、海苔は有明海苔の高級品、塩は伯方の塩と原材料は一級品です。

店は対して綺麗ではなく、接客も大したことはありません。

売上高も利益もたかが知れていると考えていました。

 存続する理由が分かったのは会計の時でした。

お酒も飲まずに3人合計で約12000円になっていたのです。

いつの間にかおにぎりは全部で16個、それにおでん、焼き鳥、なめこ汁、貝汁・・・

 全てが美味しいのは当然ですが、脇役の品々もかなりの数たのんでしまうのです。

スタッフはメインのおにぎりを握る男性二人と、会計をしながら焼き鳥とおでん担当の女性ひとり、それに4人の外国人アルバイト。時給は1200円~。

 他の席を見ると、ビールなどのアルコールを飲んでいる人が多くいました。

成程と合点がいきました。ホームページも少し泥臭い点が返って敷居を下げています。

 この様に確立されたビジネスモデルの「かにや」も、ずいぶん昔に福岡市内に進出しましたが、今では撤退しています。

多店舗展開の難しさがここにあります。

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