理想の経営

 創業社長には、雇われ社長と決定的な違いがあります。

それは倒産したら、創業社長は今まで築き上げてきた全ての財産と、全ての信頼を失うことです。

雇われ社長は、財産を失うわけでもなく、倒産理由も自分の実力以外の環境のせいにもできます。

 30年以上私は、このいつ倒産するかわからないという恐怖と戦ってきました。

自分自身の失敗の反省や、倒産した会社の内容を調べたり、実際自己破産した人々の姿を見て、経営にとって何が一番大切かを学んだのです。

それは、『いち早く危機を知る』ということでした。

 この数日経営に関した事柄を述べてきましたが、それは平時のことです。

そうでないときにどう動くかで、その会社の将来は決まります。

危機を早く知るためには、いろんな確実な情報を集めることです。

それも自分の五感で知ることが重要です。

 そのためには、その情報源の現場まで移動するしかありません。

「情報量は移動距離に比例する」という事実は、ネット社会でも不変だと確信しています。

 危機をいち早く知ったとしても、その危機が急激に襲ってきた場合、例えば今回のウイルス感染等の場合、非常事態となります。

この非常事態が発生した場合の理想のリーダー像とは一体どのようなものでしょう。

こと2輪業界での話ですが、先ず現場を知っていることが一番。次に専門的な技術の知見を持っていることです。

今回のように、世界的な新車車両の供給不足の中で、売り上げを維持、増加させようとした場合を考えてみます。

 恐らくどのバイク屋の店主でも考え付くことは、中古車の売り上げを上げる、既存車のカスタマイズを図る、部品用品の売り上げを増やす、レンタルの稼働率を上げる。

これくらいのことはすぐに思いつくと思います。

ただここで、専門的な知見を持っているかというとはなはだ疑問です。

バイクの買取りのために遠くに出かけ必ず買い取るノウハウ、自社オリジナルのカスタマイズの商品を造らせるノウハウ、価格を下げずにレンタルバイクの稼働率を上げるノウハウ、車検件数を上げるノウハウetc.

 技術的な知見というと、一般的なバイクショップ社員は、整備知識が豊富で修理が早い等と勘違いします。

このこと自体はとても良いことです。しかし、そのことが会社の非常事態に及ぼす影響度は、「私のいう技術的な知見」と比べるとほとんどありません。

私は最初から整備はタイヤ交換以外は不得手でした。

現在では、他店と差別化を図り、非常事態に備える技術的な知見の筆頭は『DX』です。

 この現場を知り尽くし、今風の技術的な知見を多く持って、迅速に行動できる人こそ、非常事態時の理想的経営者像と思います。

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