理屈より覚悟
長男と小倉店の棚卸に行こうとしていたその時でした。
私の携帯が鳴ったのです。
両親と義母が入所しているホームの看護師の女性からでした。
「お父様が、朝食後眩暈を訴えて、嘔吐をされています。出来たら迎えに来てかかりつけの病院まで連れて行ってもらえませんか」
すぐにホームに迎えに行きました。
部屋から看護師の方が車いすで彼を連れてきました。
かなり憔悴した顔をしていました。
少し抱え上げ、念のためにタオルとビニール袋を持たせて病院へ。
受付で病状を述べている最中に、数回嘔吐を繰り返し、流石の私も心配になりました。
看護婦と共に特別な待合室で待っていました。
熱はなく、下痢もなし。
ただ血圧が通常が130位のものが160位に上がっていました。
暫く様子を見ていると、俯いて微かな寝息を掻いていました。
少し落ち着いたようなのでそのままそっとしていました。
10数分経った頃でしょうか、看護婦が「CTが空いたのでこちらへ」と部屋に入ってきました。
検査は意外に早く済み、今度は一般の待合室へ。
また、うとうとし出した父をまじまじと観察しました。
一回り小さく感じる体格、薄くなってほとんど毛が無い頭部の上の部分、皺だらけの顔と指・・・。
思わず、そっと私のジャンパーを肩にかけてやりました。
目の前の部屋の扉が開いて、診察が始まりました。
「脳のCT画像を見ましたが悪い所はありません。恐らく気候の急激な変化による一過性のものです。」
父の顔色も少し赤みがさしたような気がしました。
本人も、「くらくらしなくなった、吐き気もなくなった」というので病院からホームへ。
水分補給だけはこまめにするように言われていたので、繰り返し本人に告げて帰宅しました。
今年97歳、89歳、87歳の三人の親がいます。
平静を保つためにも、改めて覚悟を決めました。