ぷぁー、と一杯

術後の経過もよく、やっと、風呂上りに

冷たい飲み物で、思い切り喉を潤すことが、できるようになりました。

 

冷蔵庫から取り出した、冷たい麦茶を器に並々と。

最初のほんの一口は、舌で冷たさと味をゆっくりと感じながら

徐々に量を増やし、最後は一気に流し込む。

 

「ぷぁー、美味しい!!」と。

ビール好きの妻曰く「いつも、安上がりね~。」

ところが、そう安くもないのです。

 

私は、ほぼ毎日冷たいものは、それこそ、水からジュースまで

この写真の器で飲んでいます。

この器は作者から特別に頂いたものです。

 

あれは、平成23年の夏頃だったと思います。

たまたま、ほかの用事の後で岩田屋三越の画廊を訪ねました。

その時に、写真後方の花入れを見た瞬間釘付けになり

詳細は知らずに即購入を決意しました。

 

作務衣風の物を身に着けた、少し寡黙の作者がそこに立っていました。

人懐っこい眼をしていたことがお思い出されます。

 

彼の名は「高橋光三」、信楽焼き名工の第3代「高橋楽斎」のお孫さんでした。

平成22年に「第5代高橋楽斎」を襲名し、そのお祝いとして

九州で初の個展だったのです。

 

私が、九州初の購入者だったらしく、昭和29年生まれの彼にすれば

同世代だったことも手伝って、余程嬉しかったらしく

後日、自宅にお礼の手紙とこの器が送られてきました。

 

妻は、ほとんどこの価値がわかっていません。

お陰様で、割れる事も欠けることもなく、普通の食器と一緒に

普通に洗っています。

 

以前、バカラのグラスを2度購入した時には、

2度とも割れたり、ひびを入れさせてダメにしました。

 

「高い食器やグラスに限ってよく割れるもんね。」と

いつもの調子いい自己弁護。

知らないことが、良いこともあります。

 

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