覆水盆に返らず
この故事は、高校時代から私の脳裏に焼き付いています。
幼い頃から、厳格な父にプレッシャーを受けていたというベースもありますが
それ以上に、英語の勉強の中で「へ~!?」と思ったことが 強い記憶となって残っているからです。
「覆水盆に返らず」を英語表記しますと
It is no use crying over spilt ( ).
この( )の中を埋める問題でした。
私は分からなくて、解答は「milk」でした。
『こぼれたミルクを嘆いても仕方ない』という意味。
私の中では、狭義の意味で「失敗したら取り返しがつかない」と 勝手に解釈していました。
ところが脱サラして経営者となり、人を真剣に育てようとすると
失敗した方が良い場合があると体験できたのです。
なんとなく釈然としないまま過ごしてきましたが
先日の新聞にこの故事の由来が掲載されていて、すべて腑に落ちました。
この「盆」とは、中国の「鉢」にあたり洗面器のようなもの。
周の太公望呂尚は、若い頃貧乏なのに
本ばかり読んでいて 妻から離縁を申し出されます。
後に呂尚は、周の文王に見いだされ 出世して斉の国王になります。
すると別れた元の妻が復縁を申し込みます。
その時に彼は、盆に入れた水をこぼして
「この水を戻せたら復縁に応じよう」と言ったという故事からきているのでした。
驚きました。つまり一旦離縁した夫婦の仲は元には戻らないという例えが転じて
一度してしまった失敗は取り返しがつかないとなったのです。
離縁された私の知人のご主人達、大いなる奮起を期待したいと思います。