人の採用
以前にも記述しましたが、私は二輪業界の中では特殊で、単にバイクは好きなものの、整備に関しても商売に関してもド素人でした。
開業前にメーカーの付設工場で整備を半年くらい学んだに過ぎません。
そのためにしっかり整備ができる人の採用に人一倍心を砕きました。
吹けば飛ぶようなバイクショップに、整備専門学校を卒業した人がきてくれるはずもなく、当初は手伝ってくれる人なら誰でも大歓迎。
その内に、自分の人間性と将来のビジョンに賛同してくれる人々を少しずつ増やしていき、自社で整備士を養成することが一番の近道と判断。
最近の新聞記事に、日本国内のトラック業界が整備士不足の対応に、整備士でない一般の人を採用し、数年かけて会社負担で仕事をしながら国家試験を受けさせる試みが始まったとありました。
私は30年前から同じことをしています。
私に先見の明があったわけではなく、必要に迫られての判断だったのです。
それからは、数日前にも記述しましたが「来るもの拒まず、去る者追わず」が私の採用の原点となりました。
しかし、これからの時代は「来るものは徹底した吟味、去る者は追わず」に変更した方が良いと息子達にはアドバイスしています。
ただでさえ人不足の時代にそんなことはできないと、大抵の二輪業界関係者は考えます。
先ずは国家資格者を揃えねばならないと考えるのです。
するとどうするか?手っ取り早く高給を匂わせてヘッドハントする方が効率的となります。
私の周りにもそのような事例が散見されています。
息子達はそのような事例に危惧をしているようですが、私は俄然チャンスが巡ってきたと感じています。
そのようなヘッドハントでしか人物を採用できない会社とは、言葉を換えると自社で人財を育てることができないことを公言しているのと同じだからです。
いくらお金がある大きな会社でも、早晩行き詰ることは目に見えています。
我々二輪業界は中小企業であり、且つ製造業ではありません。
極論すれば「何も生産しない」のです。
それで生き残るには『人こそが資産』という考え方が先ず有りきだと私は考えています。
できる範囲で、社員の待遇をよくする事に尽きます。
その道程の遅さ等に不満な社員が会社を去るのは、仕方ありません。
彼等を責めるよりも、自戒を込めて更なる業績アップにチャレンジすれば良いだけです。
これからの採用は2~3年に一人でもよいので、「IQ」と「EQ]のテストをして決めることです。
[IQ] Intelligence Quotient (知能指数)
さまざまな状況や環境に合理的に対処していくための土台となる能力
[EQ] Emotional Intelligence Quotient (心の知能指数)
如何に自分や相手の感情を把握して状況に応じた感情のコントロールができるのかの能力
特に、非常事態になった時には「心」が決定的な要素となります。
今回のMLBワールドシリーズにおける山本投手の言動は、まさしく「EQ」のお手本です。
個々の技術力に裏打ちされた『チームプレイ』こそ勝利への方程式です。
私が子供や孫達に、テニスとラグビーを勧めている理由もここにあります。
たった一人の採用で会社が激変することは私が経験済みです。
本来なら「EQ」に優れた人のみ採用すれば、5~10年はもちます。
しかしそれ以上となると、俄然「IQ」に優れた人物が一人はいないと、業界そのものもどうなるのか不明なのです。
「昔はバイク屋さんだった」といっても信じられない業種への変換も視野に入れるべきです。
