未来の姿
AIの普及や、自動車・二輪車の電動化の波が、我々にどのような影響を及ぼすのか、漠然としか理解できません。
ここ数年私が2輪業界で生き残るためには、「技術力」が一番重要となる旨述べてきました。
理由は主に4つあります。
1.二輪の電動化(特に軽二輪・小型二輪)は遅れるので、引き続き現在以上の整備力が必要となる
2.保有台数はほとんど減っていなくて、その大半がガソリンエンジン車である
3.メーカーの専門店化が進み、正規整備店舗が激減し、販売は商品政策の比重が高まり、価格競争も起こらず営業の重要性が減る
4.整備士のなり手が圧倒的に減少している
するとどうなるのか、ある程度の仮説は簡単に立てられます。
先ず、他店で購入済みの車両を整備のために正規ディーラーに持ち込み出す。
整備力強化のために整備士をより多く雇用しようとする。
整備車両の数をこなしきれなくなり整備料金の高騰を招く。
技術力のある整備士は引っ張りだこになり、年収がアップする。
このブログで何度も強調していますが、今から工場の効率化とバックヤードの整理整頓を徹底することです。
その上で、整備士が働きやすい環境整備を行い、技術力アップの研修と整備士の接客態度アップの研修を重ねることです。
レーバーレートが1時間当たり2万円となっても、妥当だと思えるディーラーのみが生き残ると思います。
その時の整備士の年収は、現状より100万円以上高いものになっているはずです。
AIが急速に普及している米国では、大学卒のホワイトカラーの就職先が無くなっています。
逆に高卒の手に職を持つブルーカラーは引く手あまたで、賃金が急騰しているとのこと。
こうした技能工を「ブルーカラービリオネア」と呼ぶそうです。
特にAIでは代替が効かない、配管工や自動車整備士の需要が高まっていると。
そう遠くない未来に日本にも同じことが起きます。
息子達には、社長の給料は上げずに、どんどん整備士の給料を上げろと言い続けています。
そのかわり、整備力で個々人の賃金の差をつけるのは是とするべきです。
歴史ある真面目な整備力を持った老舗のバイクショップがどんどん消えています。
店主の高齢化と後継者不足とメーカーの馬鹿げた販路政策が原因です。
少子高齢化が進み、若者人口の急減がすぐそこにあるのに、借金で大型店を作らせてどんな意味があるのでしょう?
また、一見簡単に見える二輪業界の経営に異業種が参入していますが、これもことごとく失敗するはずです。
MBAを取ろうが、優秀な大学を出ようが、現場の整備士のことや、二輪業界の特殊性を知らないで、机上の空論を振りかざすメーカーには、逆風が来る時代になります。
金融庁が地銀の数が多過ぎると警告を鳴らし続けていますが、二輪業界も同じことが言えます。
メーカーの数が多過ぎますし、メーカーの社員の数も多過ぎです。
恐らく数年先には、メーカーの数は2~3割減となり、社員数は半減すると思います。
考えてみれば、私のようなど素人が38年間も二輪業界で雇用を守り税金を払い続けてこれたのは、整備士たちのお陰なのです。
30年前から言っているのですが、整備士は医師と同格だと。
不具合を診断しそれを治し、そのことが人命にも拘わるのですから。
整備士の年収は、メーカーの営業マンよりはるかに高くて当然と思っています。
やっとその時代に突入します。
