失敗を認める勇気
「勝って兜の緒を締めよ」と古(いにしえ)から言われています。
息子達にこのことを言っても恐らくピンときません。
「業績が急激に良くなった時ほど慎重に」くらいが分かりやすいと思っています。
2025年6月13日(金)に真ダムと一緒に、輸入部門の鹿児島店、熊本店、国内部門の熊本店を回りました。
店の雰囲気は輸入部門の方は両店共に問題ありません。
国内部門の熊本店は少し改善の余地ありです。「楽しく・明るく・元気よく」が見られず、「いらいら感」の雰囲気が感じられました。整備が忙しいのでしょうが、お客様には関係ありません。
私が何度も言っているように、『2輪業界を小売業と捉えずにサービス業と捉えろ』に具体的な行動で近づくべきです。
どうしたらお客様にとって居心地が良くなるのか、それをとことん追求する必要があります。
3店共に共通の問題点は、在庫過多です。
昨年来この件については、月次決算の時にも口を酸っぱく言っていますが、全然改善されていません。
息子達の明らかな仕入れの失敗なのです。
最近の月次決算でも両グループともに黒字になっています。
売上高もさほど落ちていないか、若干上昇気味です。
ここに大きな落とし穴があるのです。
経常利益は、在庫も現金と同様で計算されます。
仮に1千万円の経常利益が出ていたとしても、無駄な在庫や長期在庫が2千万円あれば、実質赤字と同じです。
コロナ感染症の影響で、2輪業界は労せず売上高も利益も大きく増加しました。
このことに私は息子達に警鐘を鳴らし続けたのですが、やはり自分で火傷(やけど)して傷跡を残すまで理解できないのでしょう。
逆説的ですが、増収増益になったことで借入金額の枠も大きくなり、簡単にお金が借りれることも大きなリスクとなっているのです。
自明の理ですが、借り入れが増えれば増えるほど倒産に近づいているということを忘れないことです。
在庫過多の一番怖い現状は、利益が出ていながら税金を払えなくなり、それを借金で賄うというスタイル。
ここまで来たら、黒字倒産の一歩手前と認識することです。
数千万円の借り入れを何も苦労せずにハンコ一つで行っている異常に気づくべきです。
二人の息子達にこの危機感がないことが残念です。
仕入れ元とどのような軋轢(あつれき)を生もうが、今年中に在庫の適正化を図るべきです。
国内部門で新車車両を各店4台以上、輸入部門は各店8台以上ずつ減らし、特に輸入部門の用品在庫は半分にしなければなりません。
その上で、新規仕入れは今までの感覚の1/3くらいにすべきです。
本来在庫はメーカーや輸入元が持つべきものです。
二輪業界の経営者は本当にお人好しが多いと思います。
このようにいうと、恐らく息子達や各店長から販売機会のロスを生む等の異論が噴出するでしょう。
私から言わせれば、『倒産するよりましだ』のひとこと。
仕入れ元からの苦情も丁寧に説明し、1年間ほど待ってもらえば良いのです。
心配しなくてもどこかに必ず在庫はあります。
イスラエルがイランを攻撃し、イランが報復し出しました。
原油が一気に上昇を始めました。お米の価格など枝葉末節に過ぎません。
電気代や物流代、その他の物価が急上昇を始めると私は思っています。
その結果、消費の大きな減退は避けられません。
今までと違い、いろんな商品が余りだすと仮説を立てています。
日経平均も35000円を割る可能性が大きいと感じています。
これほど環境激変の時に一番必要なものは『現金』で、一番悪なのは『在庫』です。
メーカーや輸入元の余った在庫を、廉価で一括仕入れできるほどのお金とスペースを確保するのが、今年から来年にかけての戦略です。
