何かが見えるまで
2025年6月11日(水)22:28 読了。
「東大生に教える日本史」 本郷和人 著
日本史が苦手で、受験に世界史を選択した私にとって、チャレンジングなタイトルでした。
理解できるか不安の元に読み進めましたが、豈図(あにはか)らんや易しい表現と視点の面白さで楽しく読めました。
更にエピローグで、この著者の師に当たる東大教授の石井進先生から直に学んだ一つが『ホラを吹きなさい』ということだったと既述されていて、私と同じだと大層嬉しくなりました。
最近の技術の進歩と発見された古文書等の資料から、少しずつ歴史も塗り替えられています。
鎌倉幕府の設立は、我々の時代は1192年、現代では1185年とされるが筆者は1180年と考えるそうです。
断片的な資料や、真偽も含めて、考え推理することが歴史学と結論付けています。
鎌倉、室町、戦国、江戸と順を追って解説していきます。
どの時代も共通するのが「土地」の概念。
現代でも変わらないのが不思議な気がします。
改めて豊臣秀吉の出現が如何に特異か理解できました。
数百年に及ぶ武家社会の中で、下層民の彼が頂点に上り詰めることなど本来はあり得ないことだそうです。
さらに興味深かったのが、江戸幕府が270年も続いたが、前期は成長期だったが後期は衰退期だったとする説。
日本の人口推計では、聖徳太子の600年ごろは約600万人。
1000年後の1600年の関ヶ原の戦いの時には約1200万人と1000年かけてやっと倍。
それが100年後の1700年には約2500万人に急増。
この人口爆発は「平和の実現」に寄ってもたらされたというもの。
ところが、この「平和の実現」には副作用もありました。
顕著なことが武士のサラリーマン化とゾンビ企業の増加。
何も生み出すことが出来ない武士たちの費用がかさみ、各藩はどこも大赤字。
次第に衰退へと向かうのです。
この本を読んで、投資や経営に役立つことは恐らくありません。
しかし今の私にとっては、興味あるタイトルに手当たり次第に手を出し読破することが喜びなのです。
先ずは量をこなすことで質まで持って行けたら本望です。いずれ何かが見えてくるはずです。
