立ち止まり考える
2025年6月10日(火)16:37 読了
「楠木建の頭の中 戦略と経営についての論考」楠木 建 著
微に入り細に入り具体的な経営に関する指導書です。
経営のバイブルとして迷いや問題が生じたときに、繰り返し読むことです。
成長が止まっている会社の経営者、新規事業を考えている経営者、これから起業を考えている人には必読の書です。
私も、もっと早くこの本を読んでいたらと思いましたが、初版が2024年11月13日ならしかたありません。
誰でも知っているし、対策を考えていることですが、競争戦略の根本は「競合他社に対する違いをつくる」ことです。
しかし、多少の違いはすぐに競合に真似され陳腐化します。
長期的に利益を出し続けるためには、常に違いを考え実行することはもちろんですが、もっと根源的な理念や方法を見つけ出し、それをブラッシュアップすることが必要です。
我々二輪業界は、一般的には小売業となっていますが、サービス業と捉えると、おのずと他店との差別化ができやすくなります。
大きさや量ではなく、且つ全国一律でもなく、『ローカルでの質』を追求していけば、継続した利益が出る事業です。
簡単に言えば、「居心地のいい空間」というコンセプトの店にすればよいのです。
この点でレクサス店の凄みを常に感じています。
私は今まで二輪業界は不要不急で景気に左右され、あまり利益も出ないと考えていました。
しかしこの本によると、飲食や旅行、イベントやエンターテイメントなどの不要不急に見える商売ほど、人間の本性に根差しているというのです。
人間の本性を直撃する商売ほど、骨太の需要に支えられているまで書かれると、俄然夢も持てるしやる気にもなります。
経済が成熟するにつれて、稼ぐ力の源泉は、企業を取り巻く外部の機会から企業内部で作り込む独自価値へとシフトするそうです。
他社が容易に模倣できない価値を実現するポイントは「専業性」とのこと。
これらのことも、二輪業界にも当てはまります。
どう売るかよりも、なぜ売れたかを考える頭の切り替えが必要です。
私が最も得心したのが、起業家に求められる要素の一番に「野心」とこの著者が記述していることです。
また、『努力の娯楽化』という言葉は特に気に入りました。
真ダムからTVも観ず、遊ぶこともしないで、本を読んで株式市場を睨んでよく続くねと言われます。
私は「本を読むこと」も「投資の案件を見つけ出す」ことも娯楽そのものなのです。
