原則を忘れない事

 素人の私が二輪業界に飛び込んで驚いたことは、当時のほとんどの店が月次決算などしていなかったこと。

膨大な在庫を抱えていたこと。

借入金への内容吟味や抵抗感が少なかったこと。

 私は、創業間もなかったので、資金不足により在庫は持てないし、銀行も大きな金額のお金を貸してくれませんでした。

毎日資金繰りが怖くて、創業3年目から税理士を入れ月次決算を始めたのです。

 (借入金の原則)

1.無借金が理想

2.短期借入金(1年以内に返済)は運転資金に使用

3.長期借入金(1年超の返済)は設備投資資金に使用

4.長期借入金の場合は変動か固定かの吟味

 (在庫の原則)

少ない在庫を高回転で売却すること。

 (仕入れと入金の原則)

支払いはなるだけ遅く、入金は少しでも早く

 何故、今更このような原則を改めて述べたか?

それは、金利のある世界が始まったからと、二輪業界の売上高が億円単位になったからです。

 二輪車の販売店が陥った罠。

随分昔に、本音で経営を話し合える社長が三人いました。

一人は国産の販売店で、二人は輸入車の販売店。

三人共に、その業界では当時売上高がトップクラスでしたが、三社とも倒産しました。

 先ず国産の会社は、本店の業績が安定し大きくなったので他県へ出店。

その新規店の店長がかなりの金額を横領し、そこから一気に資金繰りが悪化し、倒産に至ります。

バイクだけでなく部品用品も大量の仕入れをされて、それを横流しされていた。

経営者が常に現地へ赴き、月次決算を実行していれば容易に気が付くパターン。

 輸入車の場合は勘違いも甚だしい事例。

3~6か月後の支払いで良いので車両を仕入れるというもの。

大体において、この様な車両は売れ筋ではありません。

仮に3台仕入れて1台売れても、輸入車の場合は先に仕入れ代金を支払わねば書類が送ってきません。

先に支払い、後で入金となります。更に売れ残りの在庫が2台あるまま支払いが来るのです。

倒産した二人の経営者は面白いことに同じ言葉を私に言っていました。

「借金だけは億万長者、借金も突き抜けるとどうってことないよ」

 輸入二輪車の場合、特に気を付けなければならないのは、先に支払いが来て後に入金となるという、原則と真逆のシステムであるということ。

1台当たりの単価が高額のために、在庫が膨れると一気に資金繰りに窮します。

 国産二輪車の場合は、大抵が月末締めの翌月5~10日支払い。

ということは、各店長は必ず月初にしか仕入れを起こさない(オーダーを前月末の朝かその一日前の夜に入れる)ということを徹底すれば、支払いサイトが40日前後となります。

大きな商いになればなるほど資金繰りが楽になるのです。

車両だけでなくオイルなどもそうです。

最近はドラム缶で仕入れるのですが、その仕入れを8日~28日に起こす店長は無能です。

 僅かばかりのことですが、金利のある世界では小さなミスも大きな問題に発展しかねません。

 

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