現場を知る大切さ
2024年8月12日(月)西日本新聞朝刊に衝撃的な記事が掲載されました。
それも「社説」ですから、かなり重いものです。
タイトルは「ハーレーに疑惑 販売店いじめは許されぬ」というもの。
遂に記事になったかというのが私の正直な感想。
私は異業種から2輪業界に入って来たので、この業界のおかしな慣行を幾度も体験しました。
しかしこの37年間でかなりまともな業界になってきた感覚はありました。
唯一おかしいと感じていたのが、輸入2輪車の押し込み販売でした。
ディーラー網を確立するまでは、かなり下手に出て販売店に良いことを言います。
次第に実績が上がってくると、だんだん数字を負うようになります。
これは、輸入元の社長は外資系のアルアルで、年間業績を伸ばせば年収が大幅に増えるシステムが災いしています。
あるメーカーで実績を伸ばし、次のメーカーにヘッドハントで移り更なる年収アップを狙うのです。
最初はその販売目標も販売店がやっとクリアできるレベルなのですが、それが徐々に上がっていくのです。
販売店がその数量を達成できない、あるいは部品用品を一定額取らないと取引契約を止めると言い出します。
私の知り合いのハーレーやBMW販売店の社長から盛んに『押し込み販売』について聞かされていました。
何故法律に訴えないのか不思議に思っていました。
理由は簡単でした。2輪販売店の店主は、兎に角バイクが好きで純粋な人が多いのです。
且つ一匹狼的な存在の店が多く、多店舗展開もしていません。
つまり、法的な知識もなければ連帯の感覚にも乏しいのです。
この新聞の社説によると、あまりにひどい販売店いじめで公正取引委員会が独禁法違反(優越的地位の乱用)の疑いでハーレーダビットソンジャパンに立ち入り検査に入ったとのこと。
1.過大なノルマを販売店に課し、達成できなければ契約を更新しないと示唆
これにより販売店は自らバイクを買って新規登録する自爆営業が常態化。
販売台数を増やしたいハーレーダビットソンジャパンが、立場の弱い販売店にバイクを押し売りした。
不人気車種をさばかないと、客が注文したバイクを出荷してもらえないなど悪質になった。
この販売店いじめが、ハーレーダビットソンジャパンの社長が交代した2020年以降とまで詳細に記事となっていました。
私から言わせれば、優越的地位の乱用だけではなく、抱き合わせ販売にも抵触するはずです。
私が弁護士なら、ハーレーの販売店へ書類を出し、より多くの賛同を得て集団訴訟を起こします。
恐らく数十億円にはなると思いますから、約2割の手数料はバカになりません。
我々が扱う輸入2輪車も私が現役の頃、その契約書があまりにおかしいと思ったので、顧問弁護士に契約書を見せたら、『このような不平等契約は今まで見たこともない』と言われた経験があります。
このハーレーの問題を契機に、メーカーや輸入元と販売店がウィンウインになることを切に願います。
最終的に一番困るのはお客様であることを肝に銘じることです。