大きな違い
株式投資を行って日々勉強を重ねていると、いつの間にか会社経営に役立つことがあります。
もっと若い頃の私の株式投資のスタイルは、全ての資金を一つの会社に投入する、且つ少々危ない会社で行うという、ギャンブル的要素のあるものでした。
しかし、老後を考え始めた最近では、先ず倒産の恐れのない会社選びから始まります。
数々の指標の中で、「PER15倍以下、PBR1倍以下、PCFR9倍以下、EV/EBITDA6倍以下、自己資本比率40%以上、流動比率150%以上、当座比率100%以上、配当率3%以上」のスクリーニングで選んでいます。
一見難しそうですが、最近は各種情報で直ぐに値は知ることが出来とても便利です。
最近これにネットキャッシュを加えることにしました。
この概念については詳細は難しくなるので、自分の中で『現金・預金』の残高を見ることを付け加えたのです。
簡単に知るには、BSの現金・預金がいくら増えたか、もしくはいくら減ったかを調べる。
そして、その額が総資産の何割を占めるかをチェックすることを、追加の指標としました。
まだ初めてのことなので、何割以上を指標とするまでには至ってはいません。
何故この指標を気にし始めたかというと、アクティビストが上場企業に対してネットキャッシュの多い企業にもっと株主還元を行えと主張を強く始めたからです。
確かに、内部留保が増えている企業は数多くあります。
しかし、経営者にとっては、この金額が多いほど非常事態に備えられ、ゴーイング・コンサーンを全うできるのです。
ここに、上場企業の経営と我々中小企業の経営に大きな違いがあります。
上場企業は株主還元が主体ですが、中小企業は会社存続自体が命題だからです。
2輪業界のなかで私はいち早くBSとCFに着目してきました。
そのことが、最近売上高が大きく増えた時にも役立っています。
我々の業界も商店的経営と企業的経営があります。
どちらが良いという事は無くて、経営者の考え方次第だと思います。
特に企業経営を考えているならば、先ずは毎月の「営業キャッシュフロー」の増減をチェックすることです。
私は息子達に、このことと在庫の増減だけは必ずチェックするように教えてきました。
ここで、株式投資でも有効な「現金・預金」残高の観察を加えるのです。
毎月のBSでこの残高が増えていれば、倒産の確率が減っていきます。
且つ、新たなチャレンジの原資ともなり得るのです。
中小企業の良い所は、いくら内部留保を積んでも誰からも文句を言われないところです。
どんどん「現金・預金」を増やしましょう。
しかし、一つだけ大きな欠点もあります。
それは、事業承継の時に多額の相続税を支払わねばならないことです。
これを回避するには、不動産か有価証券に投資するのが王道となります。