実社会の現実
福岡市は、若い人のスタートアップ企業育成にかなり以前から力を入れています。
市内の各銀行でもファンドを組んで後押しもしています。
理論的には正しいことです。
ただ脱サラして退路を断ち起業した私からいうと、それらはほとんど成功しないと思います。
私は、サラリーマン時代の8年近くの経験があったからこそ、ここまでやれたと思っています。
何故なら、実社会の不合理で理不尽なことを何度も経験できたからです。
資本主義の実社会は、綺麗ごとだけでは生きていけないことを身をもって知りました。
そこから、子供達の名前に「清濁併せ呑む」ことを込めて、長男には「弘」を次男には「寛」という一字を当てたくらいです。
ビッグモーターに国土交通省、金融庁、消費者庁などが入り、ジャニーズ事務所の問題には国連まで会見を開いています。
TV受けするからと言って、これらの問題が特殊と思っていたら本質を見誤ります。
これらの不祥事は、資本主義社会においては氷山の一角に過ぎないのです。
高学歴者の就職人気上位の損保業界に談合の疑いが発覚して、公取の聞き取りが始まりました。
札幌では、大成建設が大きなビルの建設で、完成時期に間に合わせるために意図的に強度を下げたことが発覚して、数百億円の損害を出して建て替えが始まりました。
事程左様に、毎年大・中・小のいろんな企業において、不合理で理不尽なことが起こっています。
これは突き詰めれば、資本主義の不完全性と人間の不完全性が根本にあると私は考えます。
しかし、今以上に良くなる体制がどのようなものかは、私の頭では想像できません。
となると、現状においては子供達には、「理想」と「実社会の不合理・理不尽」の両方を理解させることです。
大学生くらいまでは「理想」を徹底的に教えこむこと。
そして、起業を考えている人がいたら、高校や大学を卒業後は敢えて「ブラック企業」に就職させることです。
短期間で「不合理・理不尽」を学べます。
これを経た後に起業すれば、格段に成功の確率は上がると思います。
実際起業したら、駆け引きも必要だし、競合相手との競争で悪知恵を働かせなくてはならないこともあります。
色んな人の裏切りもあれば、社内の横領等も出てきます。
そこで立ち止まって、理想論とのギャップに悩んでばかりいたら倒産するでしょう。
実社会も資本主義も人間そのものも「不合理で理不尽」なものと若い頃に体験することは、シブトク生き抜くことの最も近道だと私は勝手に思っています。
私自身が最も嫌いなことは同情されることです。言葉を換えれば隙を見せること。「不合理・理不尽」を常に傍観的に見ています。
だからでしょう、私は他人から冷たいとよく言われ、友達も少ないのです。
決して忘れてならないのは、企業も人間も生き残った者が勝ちであることは自明の理だという事です。