たった一人の効能
最近、真ダムの友人三人から、墓じまいや墓の新設についてとか、実家の古家の売却についての相談を受けました。
相続の相談もたまに受けるのですが、大きなお金が動くことはないため、自分が大変だった細かなことを中心に話しています。
商売に関しても、業界に関しても何も知らずに脱サラをしてしまい、今思えば背筋が寒くなるほどのいい加減さでした。
たまたま選んだ起業の地である福岡市内には、ほとんど知人もいないし地理や歴史さえ分かりません。
たった一人を強烈に感じて過ごしたものです。
その分、家族を養っていくためには、様々な分野で勉強せざるを得ませんでしたし、寝ずに働くしか方法が無かったのです。
その必死さのお陰で、金銭に関しても、不動産に関しても、相続に関しても、一般の方々の数倍の失敗経験ができました。
色んな相談を受けた時には、主に具体例を挙げてその失敗談を話すことにしています。
例えば、墓じまいに関しては、私は2か所で行っており、生前墓も建築済みです。
墓所の選び方から石の種類、費用総額等もかなり勉強したものです。
不動産に関しても10回くらいの売買を経験済みで、本音で語れます。
相談内容が難しい時には、私が信頼している専門家を紹介しています。
ライオンは自分の子供を谷底に突き落とす等の比喩がありますが、私は自ら谷に降りて行ったのです。
生き残るためには、脳みそが汗をかくほどに知恵を出し、即断即決で行動に移すしかありません。
常に初めてのことですから、当然騙されることはしょっちゅうで、失敗も数多いものでした。
しかし、それらのことは忘れようにも忘れられずに、更にはそれ以上の失敗を避けるために本を読み、専門家に相談する等のことを繰り返していれば、自然と自分の血となり肉となっているのです。
不動産業者も弁護士も税理士も、いい人もいればそうでない人もいます。
それらの専門家に相談する前に、私の失敗談が生きてくれれば幸いだと思っています。
先日は異業種の64歳の知人から久し振りに連絡があり、私の事務所で会うことにしました。
彼から随分前にM&Aと投資用ビルの売却について相談を受けていたのですが、それっきりとなっていました。
小さめの胡蝶蘭を持って会いに来た彼の結論は、M&Aはせずに後5年働き続け自分の現在の店舗は、人に貸すというもの。
70歳から年金を受け取りながら、不労所得を月額100万円受け取ることが目標とのこと。
私の意見は、色んな経過を考えて店舗と経営のM&Aを考え、投資用不動産の売却も考えたのなら、私なら売りたいと思った時がその時と思い、全ての売却に向かって対応すると返事。
5年先に貴君が生きているかどうかも分からないし、その時には投資用不動産は築30年になっている。
金利も上がっているだろうし、法定年数の残存期間を考えても一般の人が購入するには、相当の頭金を準備しなければ銀行が融資しないだろうともこたえました。
購入者がプロとなればそう高くは売れないだろうと。
また、年金受給に関しても、70歳から受け取ると割り増しにはなるが、65歳から受け取った場合と同額になるのはおよそ82歳まで待たねばならない。
82歳まで生きているかどうかも分からないし、その時にはほとんどの欲もなくなっていて、特に美味しいものをたくさん食べることはできないだろうし、観光名所に行くには足腰が弱っている可能性が高いとも付け加えました。
私も真ダムも65歳からフルで年金を受け取っていて、とても満足していることも付け加えました。
土地を含めた資産総額を聞くと相当なものでした。
それにも拘わらず、新NISAも株式投資も行っていないのも不思議な気がしました。
私のことを詳細に聞くので、「その日一日を一生懸命に生きる」ことを念頭に、現在は株式投資に全力を注いでいる。
目標は先ず3000万ドル(世界標準の超富裕層)で最終は10億ドル(世界標準のビリオネア)と相変わらずの大法螺で答えておきました。
投資用不動産は2棟とも売却して現金化し、そのお金は新NISAや「一人法人」に投資している旨も話しました。
雰囲気からして、私のアドバイスがどれほど役に立つか不明ですが、是非うまくいって欲しいものです。
まあ、人生の決断というものは、「正解」かどうかは誰にも分からないものです。
こんな私でも、頼って下さる人がいること自体に、最近は充実した感覚になりますし、自分の考え方の輪郭を改めてはっきりさせる効果があります。
