無知は罪

 先日、真ダムの短大時代の同級生から相談を受けました。

彼女の行きつけの居酒屋で、3人で会食しながらことの顛末を聞きました。

先ず彼女の実家は老舗企業であること。

従業員は約20名。

2代目の父親が他界し、二人姉妹と一人弟の3人の子供のうち、この弟が跡を継いで社長になっていること。

この弟の会社に彼女の姉の息子が就業していること。

株主は、姉と、母親と、弟。

母親は弟べったりで、彼女は遺産ももらわず距離を置いていた。

1.疎遠だった母親が急に彼女に相談することが増え、お金が無くなってきていると

2.弟が突然今年の10月1日(水)に社長をこの甥に譲るといい出したこと

3.株主総会の委任状にいろんなことが書いてあり、総会には欠席して弟に一任する書類にサインをさせられたこと

4.弟は離れた別の場所にマンションを購入したこと

 先ず、財務諸表について聞きました。

姉も甥も恐らく見たこともないし、知らないと思う。

社長になる予定の甥は財務諸表を理解できるか問うと、工場の仕事一辺倒でまず無理とのこと。

弟の素行を訊ねると、仕事は出来ないと(先方を知らないため疑問符)

工場の床もはがれて、製造に支障が出るにもかかわらず、弟は修繕しようともしないこと

 私の答えは、詳細が分からないのであくまで推測

1.甥は最低でも借入金の連帯保証人にならないことが確実視されない限り、代表職は辞退する方が良い

2.取引銀行へ姉と甥と母親で行き実態(銀行の判断)を担当者に聞くこと

3.5年分くらいの財務諸表を税理士に分析してもらい意見を聞く

4.担保が付いている不動産を確認すること

 相当勢いがあり、優良不動産等も保有している会社が、経営の稚拙で一気に没落するパターンかと思われます。

優良不動産や証券を持っている会社ほど、貸す方はどんどん貸し付けて借金が膨大になっていきます。

株主総会へ、姉も母親も出席しないようにとの委任状が、どうも引っ掛かります。

 彼女は、私は全然関係ないのにストレスだけが溜まると嘆いていました。

私は彼女に、最終的には彼女にも関係してくると話すと驚いていました。

母親が90歳で今後ホームに入居するとき、誰が保証人になるのか問いました。

仲が良くない弟が保証人にならないといったらどうするのか?

すると、収入のない彼女と姉が保証人になり、かなりの出費を覚悟する必要があるのです。

ここら辺のことは、弁護士と相談した方がよいとアドバイス。

 今年の6月に金融庁が日本全国の金融機関へ出した文章があります。

「金融機関における粉飾等予兆管理体勢の高度化に向けたモニタリングレポート2025」がそれです。

背景は、この2年間で粉飾決算における倒産が、過去最高となっているからです。

 コロナ禍のゼロゼロ融資で延命した企業の資金繰り悪化が、時間差で急増していること。

ここ数年間での倒産が少なく与信に隙が出きたこと、且つ倒産予兆をかぎ分けるベテラン銀行員が減ったこと。

などが主な原因と考えられています。

 危ない企業の特徴を見抜くことは簡単です。

まずは店などの現場に行くこと。

和やかで雰囲気が良いかどうかと、6Sがしっかりなされているか、従業員の数が減っていないか、売れ筋の在庫はあるかどうか等を肌感覚で覚えていて、違和感を感じたら詳細を調べればよいのです。

次に、決算書の提出が遅い企業も要注意。

企業トップが会社の数字をきちんと語れない場合は、もうおかしい。

 この38年間で、知人たちの歴史ある老舗の倒産を、何件も見てきました。

先ず経営者が、(格好つけしい)(高給)(財務諸表を理解できない)(いつか何とかなるだろうとの甘い予想)(付き合いが多い)などの共通点がありました。

本人やその家族は、身内の実力不足で倒産しても仕方ありません。

可哀想なのは従業員です。

中小企業の経営者が、メルセデスに乗って、ゴルフして、家族で海外旅行して、多くの私的団体(ライオンズクラブ・JCなど)に加入して、などできるはずもないのが、最近の急変する経済環境なのです。

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