繰り返しになるが
8月も中旬に差し掛かり、大雨の中自宅を出ることもほとんどなく、経営誌や株式投資本を読み漁っています。
各店舗の店長へアドバイスできるのも、残り180日強となりました。
そう考えると、色んなことを教えても記憶に残らないのであれば、重要なことのみ繰り返し伝えようと、経営のポイントを再考してみました。
その結果、単純で分かりやすいが、このポイントを押さえておけば大丈夫という指標を述べます。
色んな経営要素の中で、最も重要視しなければならないのは、「会社を倒産させないこと(継続させる)」ことです。
では、絶対に潰れないことは可能かといえば、『可能』なのです。
単純に言えば、それは『現金』を持っていることです。
商店主や経営歴が短い経営者は、どちらかというと損益計算書重視で「黒字か赤字」を気にします。
しかし、創業以来一度も赤字を出していない会社でも、支払いができなければ倒産します。
何度言っても、この黒字倒産の理解が出来ていません。
流動比率と自己資本比率については、経営でも株式投資でも、経営の健全性において私が重視している指標です。
流動資産が流動負債より多ければ多いほど良いと考えて間違いありません(200%以上が理想)。
しかし、流動資産の中身が重要なのです。
特にバイク業界は在庫の比率が高くなり、現・預金の比率が低くなります。
極論すれば、現預金がほとんど無く、在庫ばかりの流動資産で黒字を積み重ね、自己資本比率が上がっても、倒産はしてしまうのです。
各店長は、貸借対照表を必ずチェックして、流動資産の「在庫」と「現・預金」の額を知っておくべきです。
なるだけ、「在庫」≦「現預金」に持って行くこと。
簡単なことですが、「現・預金」を増やすには、『無駄遣い』を止める事に尽きます。
次に店長が頭に叩き込まなければならいない指標は、月平均の「固定費(バイク屋の場合は販管費でオッケイ)」の額です。
我々グループは月次決算をしていますが、各店長は概略でいいので感覚で「日時決算」を行うべきです。
月平均の販管費以上の利益を出すために、毎日どれだけの修理をこなし、どれだけの台数を販売しなければならないのかを、日々追いかけなければなりません。
この二つのことさえ徹底すれば、先ず「倒産」はあり得ません。
経営者である息子達の役割は、この「現・預金」を確保する方便を常に考えておくことです。
当然、取引銀行とのコミュニケーションをよくして、資金繰りを考えること。
法人で定期積金を行うことはもちろん、有価証券等の投資もバランスを考えて行うこと。
さらには、自分の給料から一定額を定期積金にして、非常事態に直ぐに降ろせるようにすること。
具体的には、貸借対照表の「現・預金」額が、平均月商の2倍以上あるか常に意識すること。
因みに2025年1~6月時点で我がグループを調べると、国内部門は2.1ヶ月分、輸入部門が0.9ヶ月分でした。
また、経営者個人では、現金でも直ぐに現金化できる有価証券でもよいので、会社全体の販管費の1ヶ月分以上を非常事態に供えて持っておくべきです。
我がグループで概算すると、息子達はそれぞれ3000万円以上の現金か有価証券を持っていなければならないことになります。
息子達の目標がこれです。販管費が上昇すれば、それにつれてこの額も上昇していきます。
よく経営者が間違うのが、「会社のものは自分のもの」という考え方。
『自分のものも会社のもの』と考え続ければ、そうそう簡単には倒産はしません。
