覚悟と教育

 私は、起業したことによって、自ずと覚悟ができました。

我々の時代は、(倒産=無一文)だったからです。

家族を守るためには、遊びや無駄遣いなどに走る余裕などありませんでした。

 起業当時恐らく5万軒はあったであろうバイク屋さんと比較して、新規の私の店など底辺もいいところです。

(人・物・金・情報)に関して物凄い『格差』を感じました。

おんぼろ中古のスクーターで店へ出て、エレベーターも付いていない4階建ての築古アパート4階に住んでいると、自家用車に乗り一軒家やマンションに住む人々と、大いに『格差』を感じたものです。

しかし、倒産の恐怖から我武者羅に仕事をこなしていくと、その『格差』が次第に縮まっていくのです。

 世の中には『格差』は悪との風潮があるようですが、私はこの『格差』の逆転こそがモチベーションになりました。

平等な世の中など面白くも何ともありませんし、生きている価値はない気がします。

なるだけ公平である必要はありますが、それも保証されるとは限りません。

 2025年7月16日(水)の日経新聞朝刊と西日本新聞朝刊それぞれの一面の記事。

日産自動車が神奈川県の工場を閉鎖し北九州の工場に移管するというものでした。

 私は、当然そうなると思っていましたが、決定されるとやはり嬉しい。

九州にとってはかなりの朗報だからです。

シリコンアイランドとカーアイランドの製造業に農業、漁業、サービス業をバランスよく配置し、金融のハブともなればそれこそ世界の中でも九州だけでやっていけます。

 ここでも大きな『格差』が生じました。

神奈川県の部品業者やサービス業者はかなり閉店を余儀なくされます。

一方、北九州のそれらの業者は今まで以上に潤うのです。

この『格差』を呪っても仕方ありません。

日産自動車に頼り切って、何もしなかった会社が悪いのです。

 およそ40年前までは、東京や大阪から九州への転勤は左遷と捉えられていました。

今から将来を考えると、九州、特に福岡市内は東京都を凌駕するくらいの逆転劇を演じ、『格差』の頂点に立つと感じています。

 人間に個性がある以上『格差』は無くなりません。

また、特に日本は資本主義の社会です。

今後人気取り政治家がいくら叫ぼうが、確実に『格差』は広がっていくでしょう。

私はこのこと自体は大賛成です。

大きなリスクを取って、額に汗をかいた人が報われる社会でないと、世の中によどみが出てきます。

 今回、九州の中小自動車部品会社は胸をなでおろしているでしょう。

しかし、これからどう行動するのかが問われているのです。

日産自動車だけに頼っていたら、今回と同様なことが起こる可能性があります。

新規事業を立ちあげるとか、新たな取引先を開拓するとかしない企業は、淘汰されるでしょう。

それでも、この様な新陳代謝は資本主義経済の発展には必須なのです。

嘗てある中国人に、日本は格差が全然なくて中国より共産主義に近いと言われたことがあります。

 私は子供達に常に『格差』の教育をしてきました。

具体的に一番良い教育は、中小企業の倒産した事例を詳細に話すことです。

また、その経営者がその後どうしているのかも教えました。

耳障りの良い『格差是正』などを謳うよりも、老後の『格差』の底辺と上辺の実態を具体的に教えるという教育を私は選びます。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

未分類

前の記事

1070.3キロ
未分類

次の記事

少しは刺激になったか?