卵が先か鶏が先か
新聞に、整備士業界団体と損保が単価上げに合意したとの記述がありました。
整備料金は「標準作業時間」に「単価」を掛け合わせて決めます。
この単価が30年間変わらず、整備士の低賃金を招いてきたとの論調です。
人命を守る第一線のメカニックは低賃金のまま、書類だけの作業である損保の社員の年収はかなり高額です。
自動車整備業者の倒産や休廃業・解散は24年度に過去最多になったそうです。
以前にも記述しましたが、整備士のなり手が急減し、現在の保有台数の修理がこなせなくなっています。
こうなると何が起こるか?
国が認証したり指定したりしていない場所で、かつ国家資格を持っていない人物が闇で整備を行います。
整備不良車が増え「整備難民」問題が深刻化して初めて動き出す始末。
2輪業界は、おおよそホンダやハーレーの基準工賃を参考にしている場合が多いようです。
このブログで何年も前からこの問題を取り上げ、将来は技術力の差が会社全体の優勝劣敗を決定する旨を述べてきました。
では、優秀なメカニックはどのような環境の会社に入社してくれ、長く働き続けてくれるか?
これも何度も述べましたが、楽しく・明るく・元気な会社であること。
次に賃金が業界平均より高いこと、休みがしっかりとれること。
このように述べるとほとんどの二輪関係の会社は、それほど利益が出ないので、なかなか賃金があげられないと応えます。
このような経営者に限って、労働分配率はいかほどかと聞くと答えられません。
二輪業界の場合は、人件費(賞与・役員報酬等含む)÷総利益×100 で大まか合っています。
この労働分配率は、時代の変遷や考え方によって変化してきました。
最近では、資本金10億円以上の大企業でおよそ35%前後。
中小企業で70%前後と言われています。
残念ながら二輪業界は80%前後が多い気がします。
理想は大企業よりも10%程度劣る45%前後だと私は感じています。
ここまで理解できれば簡単です。
二輪業界で生き残るためには、最初に人件費を上げることです。
しかし、社長の報酬は上げてはなりません。従業員の人件費のみ上げるのです。
これを実行した後に労働分配率をチェックします。
おそらく上げる前よりもかなり上昇していることでしょう。
そこで、45%まで落とすことの重要性(中小企業は非常事態のために内部留保を厚くする必要がある)を社員に繰り返し説明し、粗利率100%の工賃を増やしてもらうことにつきます。
優秀な技術集団を作り上げれば、各メーカーからかなり有利な条件で仕事の依頼が来ることになるでしょう。
そうなれば、商品政策に左右され、安定した実績が出せない販売に頼らずとも、経営が継続できます。
