先生の一言
朝食後や夕食後に、すぐに私は二階の執務室へ行きます。
たまに真ダムから「夫婦の会話がない」と叱られるので、その時には一緒にTVを見ながら会話をしています。
執務室に入りドアを閉めているので、階下にいる彼女には何の音も聞こえてきません。
あまりに静かで、倒れている心配があるとかで、部屋を訪ねてくれます。
その時には大抵、赤鉛筆を持ちながら、経済誌や単行本を読んでいて、彼女が「いつからそんなに本を読んだり勉強したりするようになった?」と聞くのです。
するといつも思い出すのが、母親から聞いたある言葉でした。
小学校4年生が終わろうとしているとき、母親が学校で担任の徳永先生に言われたひとこと。
「〇〇君は、きちんとした学習習慣をつければ成績がかなり伸びますよ」
その担任の女性の先生の言葉を母親から聞いた私は、すごく嬉しかったことを鮮明に覚えています。
それ以来、自ら机に向かい予習をすることになるのです。
それまでは体育の「4」以外は「3」と「2」しかなかったので、ちょっとの勉強であっという間に「4」が増えだしました。
すると親からも先生からも褒められ、どんどん勉強にのめりこんでいくのです。
6年生の時には「5」がついている教科もいくつかあり、一気に中学受験を目指します。
残念ながら、この受験には失敗するものの、本を読んだり勉強することの楽しみを知ることができて今に至っています。
哲学者の亀井勝一郎の人生論の一文。
「人生は邂逅(出会い)と謝念(感謝)である」と痛感し、徳永先生への感謝でいっぱいです。
この年になると、経験も増し、かつ残された時間の制約もあるため、私の考え方も上記の言葉から少し変化をしています。
大谷選手や菊池選手を輩出している花巻東高校の先生で野球部の監督である佐々木洋氏の言葉が、今の私の考え方と同じです。
部員たちに言っている言葉
『感染症と同じように、思考も周囲に感染すると思う。良い思考を持つ人と濃厚接触し、他人や環境のせいにする思考の人とは、ソーシャルディスタンスを保ちなさい』
最近なり手が少ないといわれる「学校の先生」という職業は、人の人生に大きな影響を与えるほどの崇高な職業だと感じています。