是か非か

 2025年2月25日16:30 読了。

「藤十郎の恋・恩讐の彼方に」 菊池寛 著

この本は短編集で、上記の他に8編の短編が収められていました。

 感想は、漢字や語句が難しく、ルビや訳注はふられているものの、読むのに骨が折れました。

1900年代前半の文章は、かなり漢語等が残っており、自分の語彙力の無さに辟易しました。

それでも、いろんな場面が目に浮かぶようで、筆致の細やかさには驚かされるばかりでした。

どうりで、彼の文章が高校や大学のテストの問題になるはずだと思いました。

 この10編の中で特に印象深かったのが「藤十郎の恋」、クライマックスの鬼気迫る文章にはつい没入してしまいました。

「入れ札」はとても読みやすく、スムーズな展開ですが、やはり「嘘をついてはいけない」と、改めて思い知らされました。

 何故、今になって明治生まれの菊池寛の著作を読もうと思ったか?

それは、彼が大正12年(1923年)に『文芸春秋』を創刊した人物だったからです。

 最近「文春砲」といって、週刊文春の報道で活動停止に追い込まれる政治家や著名人が多いことが気になっていました。

他人の粗をさらけ出して報酬を得るという、この雑誌の記者の心理が理解できず、どんな会社が経営しているのか調べたのです。

すると、大元に『文芸春秋』が出てきたのです。

 この会社の経歴を調べると、菊池寛が創業していて驚いたのです。

彼は生前ジャーナリストでもあったので、悪を暴くことに関しては(是)のような気がします。

しかし、現在ではかなりの訴訟を起こされており、中には敗訴したことも多くあります。

彼等は数百万円の罰金とお詫びの記事で済みますが、著名人ともなれば記事になっただけで莫大な損失を被るのです。

私にはやはり(非)の割合が多い気がします。

面白い着想と素晴らしい文章を残した菊池寛が、草葉の陰で泣いている気がしてなりません。

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