制したものが勝つ
このブログでも何度も記述しましたが、二輪業界のこれからは技術力(整備力)の時代に入ります。
新車の販売台数がピーク時の1/10である30万台になりました。
しかし、日本国内の保有台数は約1100万台あると言われているのです。
ところが、きちんとした認証工場を持って整備している店はそう多くはありません。
また、国家資格の整備士資格を持っている人々の高齢化も進んでいます。
かなり以前から整備士不足が懸念され続けていました。
トラック運転手の不足等が喧伝されながらも、整備士不足に関してはそれほど話題になりませんでした。
ところがここにきて、一般整備にプラスして車検にまで影響を及ぼす事態になっています。
流石の国も重い腰を上げました。
国土交通省が作業時間や整備代金の調査を実施して、整備士に適正な労務費を払う作業に着手したのです。
2023年度の全業種平均有効求人倍率1.17倍に対して、整備士のそれは4.99倍です。
それほど人気が無くなった原因は何か。
未だに3K(危険・汚い・きつい)のイメージがあるのでしょう。
更に、給与の安いイメージまでが付いています。
ここに、またまたチャンスが訪れています。
技術力のある整備士を数多く抱えさえすれば、生き残りどころか独占も視野に入ってきます。
先ず対処することは、上記イメージの払拭です。
冷暖房の効いた清潔で綺麗な工場で、最新のバイクリフト、最新のタイヤチェンジャー等の設備を有し、労働時間の短縮を図ること。
これで3Kのイメージは払拭できます。
次に賃金です。
卵が先か鶏が先かを論じる暇があったら、先ず整備士の賃金を業界平均以上に上げてやるべきです。
経営者の年収などどんどん削ればよいのです。
経営者は競合相手が激減し、ほぼ独占になってから、しこたま貰えば良いのです(それが経営者の仕事だから)。
ただ、賃金を一律上げればよい訳ではありません。
お客様の評判を聞くシステムを作り、お客様の評判が良くて且つ工賃も多くあげる整備士を表彰し、整備士間でも賃金の大きな格差をつけることです。
環境だけ良くしても、人のマインドが変わらなければ生産性は上がりません。
二輪業界の整備士は高卒、大卒などの学歴は一切関係ありません。
努力さえすれば、国家資格を取得できます。
今後はその資格がとても貴重なものとなるのです。
私は小林一三のこの言葉が大好きです。
「下足番を命じられたら、日本一の下足番になってみろ。そうしたら誰も君を下足番にしておかぬ」
豊臣秀吉が織田信長の草履を温めた話は有名です。
地味で目立ちにくい整備士ですが、この草履取りや下足番よりも崇高な(人の命を預かっている)という自負を持って、天辺を目指してほしいものです。
