この日常が本当に嬉しい
いつものジャージ姿に黒いナイロン製のカバンを肩にかけて、書道教室へ向かいました。
自宅から地下鉄A駅までゆっくりと徒歩で9分。
股関節も膝も腰も痛くなりませんでした。
天気も良く、程よい寒さに気分は上々。
A駅から二つ目のB駅で下車。
駅裏のバス停で待つこと17分ほど。
かなり遅れてきたバスに乗り込み、後方の二人掛けのシートの窓際に若い女性が座っている隣に着座。
変なジジイと疑われないように、両手で前方のポールをしっかりと握りしめ、車内観察。
私が乗ったC停より3つ先のバス停で、白髪の白い杖を持った人物が乗ってきました。
おばさんがサポートして優先席まで連れて行き座らせると、その老人は彼女に何度も「すみません」と繰り返していました。
彼女は、歩いてでもそう遠くない次のバス停で降りたので、ひょっとしたらこの盲目の老人を見て、自分がサポートしなければという義務感だけで乗ってきたのではないかなどと、想像力を巡らせている自分がいました。
私は書道教室への最寄りバス停から4つ手前のD停で降り、そこからまたゆっくりと15分ほどかけて商店街を眺めながら歩を進めました。
途中の左手に小さな文房具屋さんがあります。
そこで、私の必需品である赤鉛筆を1本買いました。
昔からあるような丸いものですが、1本77円也。
新聞、本、雑誌等を読むときには、必ず赤鉛筆を持ちます。
小刀で削り、自宅にある現在のものは2センチ位になり使用の限界でした。
これほど短くても使えるのは、金属製の10センチほどのサポート器具があるからです。
書道教室へ行くと検定の結果が出ていました。
残念ながら昇級できませんでした。
あっという間に1時間半が過ぎ、最寄りバス停から自宅近くのE停まで96番に乗り込みました。
途中で乳母車と女児を連れ黒淵のメガネをかけた、いかにも真面目そうな若い男性が乗り込んできました。
奥さんは病気にでもなっているのだろうかなどと、またまた空想するのです。
私はE停で降り、20分歩いて帰宅しました。
背中にうっすら汗を感じながら、往復約6000歩の道のりに体の変調がなかったことが何よりも嬉しく感じました。
「心の健康」には、先ずは何より『動く』ことだそうです。
目的や目標などなくても良くて、これなら誰にでも出来そうです。
何か大きなことをなそうとする時にも、しなくてはならない事を小分けにして少しずつこなすと良いそうです。
この日は、真ダムが老人ホームの両親へ、ラッキョウやカットフルーツを届けに行ってくれました。
私が行く時よりも大きな喜びを表す両親の顔が目に浮かびます。
「有難う」を二度言いました。
