ゆでガエル
企業経営で危険な兆候として「ゆでガエル」という言葉が使われます。
急激な実績悪化は、経営者も社員にも緊張が走り、何とかしようとのモチベーションが起きます。
しかし、数年かけての漸減は、よほどできる経営者でないと気づきません。
いわんや、店長クラスでは無理です。
一昨日、我がグループの10月月次決算が出ました。
業績的には、長男の会社も次男の会社もよくはありません。
残り1か月と考えると、今年もどちらの会社も売上高10億円を超えることは難しい。
1-10月の売上高と総利益を二つの会社で比較しました。
売上高はどちらも8億円弱、粗利率は長男の会社が31%、次男の会社が30%。
面白いように同程度でした。
減価償却費が、年間長男の会社で4000万円、次男のそれが5000万円の予定。
次男が短期間で積極的に投資を行っているので、これは仕方ないことです。
自己資本比率は長男の会社が下がり気味で40%強、次男のそれは上がり気味で40%弱。
事程左様に似通っている会社ですが、一人当たりの生産性を見ると、俄然違ってきます。
売り上げも利益も、次男の会社が長男の会社を1.6倍ほど上回っているのです。
このままいけば、売上高も総利益も来年は4店舗の次男の会社が7店舗の長男の会社を上回る可能性が大きい。
長男にここ4年間の業績推移を質問しました。
あまりピンと来ていませんでしたので、データを示してここで初めて「ゆでガエル」という言葉を使用。
売上高も粗利率も絵を描いたように漸減しているのです。
長男の取引先メーカーは4年間はニューモデルが出ません。
売上高のかなりの部分がマイナス要素なのです。
しかし、我々の2輪業界のビジネスモデルでは、そこに原因を求めるわけにはいきません。
今まで、よい時もあったのですから、いつもいうように業績悪化を外部に求める人ほど仕事ができない証拠です。
まあいい機会かもしれません。
もともと長男の会社は、歴史も古く相当数のお客様を抱え、地代も昔のままで安い。
誰が経営しても、大きな無駄使いをしない限りは利益は出る体質だったのです。
ところが、来年からは社員の賃金アップに、お客様にとっての完全週休二日制への移行。
併せて売れる商品はないときています。
相当苦しい時代になるのは目に見えています。
眠れぬ日々が続き、体重があっという間に減少するつらい体験をすることになるでしょう。
それでも恐らく社員は動かないと思います。
これから数年は、いい父親、いい夫になれる余裕はない気がします。
私は、このような地獄を3回も経験しました。
子供たちもここを通過しない限りは、一人前の経営者にはなれません。
創業5年で6割が、10年では9割が倒産するほどの過酷な時代であることをもっと認識すべきです。