基本
経営に関する「基本」というものがあると、私は強く感じます。
色んな経営者がおられ、それぞれの感覚をお持ちと思いますが、私は「倒産させない」という観点から常に物事を考えてきました。
倒産させないために何が必要か、その一丁目一番が「信頼(誠実)」。
信頼されるために必要なことは、くどいようですが『小さな嘘をつかない』
次に必要なものは、身近な人々が自己破産をする場面に会い感じとったことです。
『生活のレベルを上げ過ぎない』。
この二つのことを意識していれば、大きく成長せずとも倒産の確率は低くなると思っています。
何となく簡単そうですね。
ところがどっこい、経営してみればわかりますが、毎日が辛い判断の連続で、その時にふと魔がさす瞬間に出くわすのです。
最近問題となったJR九州子会社のクィーンビートルの浸水隠し、ダイハツやトヨタを初めとする車両検査不正問題。
業績が好調で優秀な社員が多い大企業ても、この様な信じられない「嘘」がまかり通るのです。
況や、中小企業は経営者の一言で黒が白に変わるのは容易なのです。
中小企業の経営者が、一心不乱に猛烈に仕事をすれば、大体業績は良くなります。
この業績が良くなってからが問題なのです。
苦労の後で達成感が先に来て、このまま良い業績が続くと勘違いします。
すると少しさぼり出し、生活のレベルを上げていくのです。
この生活のレベルを上げることこそ、中小企業では業績悪化の時に大問題となります。
これも人間のサガです。一旦上がった生活レベルは余程のストイックさがないと下げるのは困難なのです。
西日本新聞の片隅の記事に面白いものがありました。
東京国税局がインターネットで、フェラーリを最低入札価格5680万円で出品するという内容です。
オークション形式のネット購買では不動産を除く過去最高額とのこと。
恐らく落札額は1億円は超えることでしょう。
何故このような結果になったか?
税金を滞納して差し押さえされたのです。
私の想像の域を出ませんが、このことこそ少しばかりの成功で有頂天となった中小企業の経営者の「生活のレベルを上げ過ぎる」悪しき例だと思います。
大きなリスクを取って起業するのですから、成功の暁にはより豊かな生活をしても良いのです。
しかし、経営者は常に最悪の状況を想定して、経営に当たり生活もすることを忘れてはなりません。