実に面白い
東京の10歳年上の知人から電話がありました。
バイク関係のM&Aは考えたことがあるか?という内容でした。
私が、実際M&A斡旋の会社と面接したことや、他店の買収で動いたこともある旨を話しました。
そして「買いですか?売りですか?」と問うと、「買いに決まってるだろう。自分で創業した会社を売るなんて考えられないと」
私は、「全然気になりませんし、息子達にいつ売却しても良いと言っています」と返事をすると大層驚いていました。
但し、これには条件があるのです。弊社よりも強靭な財務体質を持ち、弊社社員の待遇が我々の時代より格段に良くなることです。
つまるところ、社員の生活が保障され、且つより豊かになれるのであれば、売却した方が良いというのが私の考え方。
多くの企業が弊社を欲しがるような優れた会社にすればよいだけです。
我がグループはそういった観点から、帝国データバンクや東京商工リサーチに毎年正直な業績の報告をしています。
客観的な評価が見える化できるからです。
彼はビジネスエリートが多い超難関一流私立大学卒で、そのつてで今回の案件を聞いてきました。
私がバイク業界にいるので、私のためを思ってくれたのです。
会社名を聞くと私は知りませんでした。
内容を聞くにつれ即座に断りました。
そして、この案件は他の人には紹介しない方が良いと彼にアドバイス。
財務諸表も見ていませんし、何が分かるかと言われました。
しかし私にはこの会社のいきさつまで瞬時に想像できます。
恐らく在庫過多の資金繰りがかなり厳しいの一点でしょうと返答。
「BSの流動比率と当座比率を見ればすぐにわかりますよ。恐らく流動比率の120~130%しか斡旋業者は観ていないはずです。当座比率を調べれば30~50%のはずです。」
「棚卸資産は仕入れ原価方式なので、昨年から今年の分で計上されているでしょう。販売している車種はほとんどが人気のないものばかり。大幅な含み損を抱えているはずです」
コロナ禍でバイク業界には追い風が吹きました。その勢いで在庫を大幅に仕入れ、昨今の消費減退に会っているのでしょう。
電話を切った後にその会社のホームページを見ました。
見てすぐに私の直感は正しいと確信しました。
世の中が次第に面白くなってきてワクワクします。