磨きすぎた五感
取引先銀行からと、大手不動産会社W君から、ほとんど同時に投資用不動産の情報がもたらされました。
紙面での情報であまり興味が無くても、現地まで必ず行きます。
現物を見て売却価格等とのバランスを考えます。
その近辺を歩き回ることにより、自分の直感の感度を上げる事にも役立ちます。
銀行からの物件は佐賀市内、W君の物件は早良区藤崎の物件。
2月10日(土)に何もスケジュールを入れていなかったので、先ず佐賀に行って帰りに藤崎に寄ることにしました。
そのことを真ダムに伝えると、彼女も一緒に行って佐賀店で経理をしたいとのこと。
三瀬峠を越えて佐賀店へ行きそこに駐車し彼女を降ろし、私は徒歩で物件へ行くことにしました。
先ず天気が良かったことと、その物件が店から近かったからです。
およそ1000坪の敷地にRC造りの6階建ての古いビル付。
条件は、購入する側が取り壊さなければならないというもの。
取り壊し費用がいくらくらいの価格になるのか見当もつかない点と、医療関係の仕事なので土壌汚染等の心配もあり、私のような素人では手が出せないと判断。
立地は悪くはなかったのですが、私の理想とする佐賀駅からの距離は、徒歩ではかなり遠いと感じました。
最近運動不足でもあったので、ついでに佐賀駅まで歩いて行ってみることにしました。
中心部の県庁と佐嘉神社がある近辺は、人も車も少なくお堀と植栽のバランスも良く、ゆったりとした時間が流れていました。
そういえば、佐賀店をオープンさせて10年にもなるのに、この神社にお参りしていなかったと思い、参道から本殿の前へ。
お賽銭を上げて、佐賀店のスタッフ全員の無事無事故と商売繁盛をお祈りしてきました。
その神社を出てすぐのところを右手に真っすぐ行くと佐賀駅に着きます。
その駅までの歩道もきちんとカラーブロックで整備され、ところどころには、佐賀県の偉人の像が解説付きで歩道上に設置されているのです。
佐賀駅前の小さな公園には、それこそ大隈重信や江藤新平のものまでありました。
県庁から佐賀駅までに至る道筋は、とても品が良く私も気に入りました。
ところが、佐賀駅が駄目です。先ず広大な敷地の有効活用が出来ていません。
且つ古びてダサいと来ている。
JR九州が新幹線を佐賀駅経由にして、この一帯を再開発したい理由が分かりました。
店への帰りは佐賀駅隣のバスセンターからバスに乗りました。
佐賀でも「nimoca」が使えて便利でした。
午後4時半過ぎに店を出て、一路藤崎へ。
木造3階建ての築浅物件で、外観はとても綺麗でした。
駐車場がないのと、地下鉄駅まで10分の距離という2点が惜しいところ。
真ダムもいい感じと一言。
ただ私の直感が、どうしても欲しいとは言いませんでした。
夕食をどこで食べたいか真ダムに聞くと、30年ほど前に幼子を連れて行っていたハンバーグ屋さんとの返事。
看板の明かりが見えました。2台しか停めれない駐車場は空いていました。
我々が入ると、誰もお客様がいません。
昔話をすると、奥様が我々のことを覚えていてくれました。
他の客がいなかったので四方山話に花が咲きました。
私が『VAN』のフライトジャケットを着ていたのを見て、奥様が懐かしいと一言。
そこで、銀髪のシェフのご主人が私と同学年とわかりました。奥様は年上。
午後8時頃までその店にいたのですが、他の客はとうとう誰も来ませんでした。
創業43年になる店です。是非生き残って欲しいものです。
敢えてメニューの中で、最も高額な品を頼んだことがせめてもの我々の応援でした。
二人共に食べきれなくて、持ち帰りして頂いたのですが、お弁当のようにきちんと区分けされていて、仕事の丁寧さは流石です。
自宅に向かう車内では、何となく無言になった二人。
カーステレオから吉田拓郎の「私は今日まで生きてみました・・・」が流れていました。