バランス
村上春樹氏が6年ぶりに長編小説を出版します。
「街とその不確かな壁」というタイトルです。
この出版に当たって、彼がインタビューに応えていました。
その中に、「小説家は頭の良いタイプと勘の良いタイプに分かれる。一番良いのは勘が良くて頭がまあまあのタイプ。僕はそれを目指します」とありました。
この言葉を見た時に思わず膝を打ちました。
正しく『経営者』の資質と同じと感じたからです。
以前から何度も経営者にとっての『直観(勘)』の重要性を述べてきました。
「判断」は、過去の事例等から大抵の人が出来ます。しかし「決断」は、過去に照らし合わせることが出来ない場合にも「えいやっ」と下さねばならない事の方が多いのです。
そして、その決断こそが経営者の一番重要な仕事なのです。
ポカリスエットの発売に関して、取締役会では、経営者を除く全員が反対。そこで、経営者はGOのサインを出したのです。
富士フィルムの銀塩フィルム撤退の決断も同様です。
二つの事例は、過去の成功例からすれば間違った「判断」になります。
しかし、この「決断」の結果は大正解となりました。
このように経営者にとって「勘」は非常に重要だと常に思っていた私にとって、ノーベル文学賞に一番近いと言われる日本小説家の彼が同じことを言っていることに驚くとともに嬉しくなりました。
経営の場合は付け加えて、その勘に従い直ぐに行動を起こすことが更に重要となります。
では、この勘を養うにはどうすればよいか?
先ず、外に出て、いろんな世界を見る。色んな人と会い価値観の違いを認識する。疑問に思う事や不思議に思う事を大切にする。兎に角本を読む。妄想力を高める。ギャンブル(リスクのあるチャレンジ)をするetc.