信頼と信用
随分前にもこの言葉に関する所感を述べました。
最近では、自分なりに勝手に解釈しています。
広辞苑によりますと、「信頼」は『信じて頼ること』、「信用」は『確かだと信じて受け入れること。現在の行為から考えて、将来必ず義務を履行するだろうと推測し信認すること』
私は多店舗展開をするときに、この二つの定義を真剣に考えました。
そして次の結論に達したのです。
任せる以上、その店長を100%「信頼」するが、絶対に「信用」はしないということに。
何故なら、相当シッカリしていると自負する自分でさえ、「将来必ず義務を遂行する」ことは確実ではないからです。
私の経験で『信用』がいかに難しく大変かは理解できていました。
ほんの小さなことでも疎かにできないことの積み重ねこそが『信用』を造っていくのです。
経理担当の魔ダムから、グループのある店舗が預金残高不足で落ちるべきお金が落ちなかったと聞きました。
創業30数年で初めてのことでした。
長男がどのような行動をとるのか見ていましたが、あまり話題にもなりませんでした。
会社経営には、失敗していい事柄と、一度でも失敗してはいけない事柄があります。
預金残高不足でお金が落ちないことは、一丁目一番の後者なのです。
長男もその店舗の店長もことの重要さが理解できていません。
私の代に何故そのような事が起らなかったか?
「信頼」している「店長」を信用はしていなかったからです。
預金残高不足対策と、お客様の入金確認のお礼のために、会社のルールとして、「各店長は毎日通帳を付け込みに行くこと」になっています。
恐らく現在このことを実行している店長はいないでしょう。
私は、週に2回は各店舗を回ることにしていました。そして、いの一番にチェックすることが、通帳付け込みの確認です。
各店長は、この重要性をほとんど理解できていないし、毎日行くことの面倒さが、気のゆるみを生みます。
その度に私は店長を叱責し、重要性を諭しました。
店内の事故防止のために、床に物を置かないというルールも、何度も社員を怒りました。
長男に社長を譲った以上、私の出る幕はありません。
それでも今回の件は30数年かけて積み上げてきた『信用』、特に銀行に対してですが、それを『ゼロ』にしたことだけは確かです。
社用車を2,3台大破させたレベルの罪ではないのです。
長男が8割悪いが、店長も2割悪い。