良かったのかも
ネット上で、58年間真面目に営業してきた埼玉県の魚屋さんが
閉店のお知らせを貼りだしたところ
そこに、ほのぼのする感謝の返事が来た旨の記事が
掲載されていました。
たまたま、昨日知人の会社に行きましたら
63年間続いた会社をある会社に売却するとのこと。
私より数歳年上のこの社長は、3代目で学生時代に海外留学を経験され、
大手企業のサラリーマン時代には海外勤務もある優秀な方です。
彼はこの会社を引き継ぎながらも、新たに3つの業態の会社も
立ち上げられたほどの敏腕経営者なのです。
最初にお話しをお聞きした時に、
「彼ほどの経営者でも無理だったのか」が
素直な感想でした。
しかし、よくよく内容を聞いていきますと
引き継いだ時に自己資本比率が10%を切っていて
売上高の半分以上を占める多くの借金を
地道に12年かかって減らし、自己資本比率を50%にまで
持ってきたそうです。
しっかりした財務内容にしたうえで、
この業界と自社の規模等を考えた時に
先行きが見えない結論に達したとのこと。
社員等の事も考えた時に、大手への売却を決めたそうです。
63年も続いた会社を自分の代でなくす。
大いに悩まれ、大きな決断をされたと思います。
それでも、このように廃業やM&Aで済む会社は
ある意味幸せだと思います。
私は、良かったのかもと感じました。
彼が、会話の最後に、
「本当に中小企業の経営は難しくなった」との呟きは
私の心に痛く突き刺さりました。