育ちがわかる
午後4時を過ぎていたでしょうか、
かなり遅めの昼食を取った後のことです。
チェーン店にしては美味しいと思っている、
うどん屋さんの駐車場を出る時でした。
その日は、台風の影響でどんよりとした雲と
たまに忘れたように細い雨が降っていました。
出ようとする駐車場と道路の間にある広めの歩道の右方向から、
自転車に乗って並列でゆっくり走ってくる
ヘルメットをかぶったジャージ姿の男の子達が目に入りました。
そのまま行こうと思えば行けたのですが、
年齢を重ねてきたせいでしょうか、停まって待ってあげました。
すると、カバーに入った軟式のテニスラケットを
肩から掛けた中学生と思われる小さめの子が
こちらを見て会釈をして通り過ぎました。
たったこれだけのことなのに、妙に心地よい不思議な感覚に包まれました。
なぜか可愛いく見えました。成績は多分よい方だろう。
幼い顔つきからすると1年生かな。
親の普段からの躾がよいのだろう。いやいや、
テニス部の顧問の先生の指導が徹底しているのだろう。
などと、たわいもない空想を巡らせながら道路に出ました。
存続をかけて生き馬の目を抜くような業界で日々を過ごしている私にとって、
忘れかけていたほっこりした懐かしさでした。